十二本目
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マサラタウンからは、少しずつ人影が消えていった。
体力のある若者達は森の中へ。
そうでない子供や老人はポケモンセンターへ。
誘導は、オーキド博士や町の自警隊が行っていたが、避難は遅々として進まない。
「ティッタは、町の外へ避難しないのか?」
自警隊の一人がティッタに問い掛けた。
「あたしは屋敷に居ます。
ティグル様がお帰りになられた時、屋敷を無人にしておきたくはないですし、真っ先にお迎えしたいのです」
隊員は、説得しようとしたが、ティッタの瞳を見て止めた。
「わかった。だが避難したくなったら何時でも言ってくれ」
「ありがとうございます」
ティッタは、ティグルの屋敷にいた。
外では喧騒が聞こえる。
自警隊と進攻してきたロケット団が衝突しているのだ。
しかし、自警隊は劣勢。
守備線にも綻びができていた。
ティッタは、屋敷の二階から、その様子を見ていた。
何かしなければ、自分も戦わなければ。
そう思っても、戦った事などない彼女では、恐怖で動くことも叶わない。
唐突に、バン! と扉が開いた音が響く。
「一階…? 誰か入ってきたの…?」
この状況で入ってくるのは…
「ティグル様。あたしに勇気をください」
彼女が階下に降りると、一人の男が屋敷を物色していた。
「どなたですか」
震える声に、男が振り替える。
黒ずくめ、胸にはRの文字…
そして、男の視線は、ティッタの耳と尻尾に向けられた。
「なかなかいい娘だな。頭の下げかた次第では、俺の物にしてやってもいいぞ」
傲慢な、ポケモンを『物』として扱う者の言い様。
「お帰りください」
男は、聞こえなかったふりをして、首を傾げた。
「よく聞こえなかったぞ。田舎者は畜生の躾もへたくそと見える。
そら、もういいど言ってみろ」
「…出ていって」
「なんだと?」
「出て行けって言ってるのよ!」
ティッタは、勇気を振り絞って、叫んだ。
「このお屋敷は、ティグル様の物よ!
貴方みたいな人は指一本触れないで!
それがわかったら出ていって!出てけ!」
「人様に向かって、よく言った物だな畜生風情が」
男が、腰に着けたボールを投げる。
出てきたのは一振りの剣。
男はその柄を握り、強引に引き抜いた。
「この俺に対する暴言が、どれ程重い罪なのか、身をもって知るがいい」
男が踏み込み、白刃が煌めいた。
ティッタのスカートが切り裂かれる。
「どうした?早く逃げないと今度は足を切り裂くぞ?」
ティッタは階段を駆け上がり、ティグルの部屋に飛び
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