第一部
第三章 パステルカラーの風車が回る。
守りたいもの
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忍びは、里を守るため、皆命がけで戦う――本当の強さとは、忍術を極めた先などにありはしない……ッ」
お前にも教えたはずじゃ。ぐい、と大蛇丸の体からその魂が引っ張られる。
「大切なものを守る時、忍びの真の力は現れる……ッ!!」
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「なっ、砂忍――!?」
精神的に不安定ないの、両腕を怪我したネジ、そして九尾チャクラを流し込まれたテンテンでは分が悪すぎる。思いながらもネジは身構えようとした。が、両腕が動かない。腰を落とし、両腕をだらんと下げただけの体勢でネジは白眼を使用し、砂忍の数を数え、更に絶望的な思いになる。十人。今の疲弊しきった自分たちに十人を相手にするなんて無理だ。
「大丈夫……わ、わたし、出来る……」
いのの震える指が印を結んだ。だめよ、とテンテンが反対した。九人もの忍びを殺して精神的に不安定になっている彼女の精神エネルギーもまた不安定になっているはずだし、ただでさえ先ほど何回も心転身を使って疲れているはずだ。今この状態で術を使うのは危なすぎる。
「心転身の――」
術、それが発動する前に砂忍たちは一斉に踊りかかってきていた。
「くそっ、回天ッ」
テンテンといのの前に立ち、体を回転させようとしたその瞬間、両腕にひどい激痛が走る。チャクラが放出できず、ぐらりとネジは膝をついた。ここまでか、そう思いかけた時。
「八卦掌・回天――――ッ」
自分のよりも更に広範囲な回天が巻き起こる。長い黒髪を翻らせたその姿に、ネジは一瞬死んだはずの父ヒザシが自分を助けにきてくれたのかと思った。
だが違った。彼はヒアシだった。
「日向は木ノ葉にて最強……覚えておけ」
ばたばたと地面に落ちた者たちを一瞥して、冷たく一言。くるり、と黒髪を翻しながら振り返ったヒアシの姿に、ネジは一瞬口を噤む。
それはヒアシの顔があまりにも悲しげだったからだ。
「すまぬ、ネジ」
がば、音を立てて日向一族の宗主が土下座するさまを、ネジは唖然と見つめていた。宗家が一分家に土下座をすることだなんて、宗家が分家の風邪ごときに見舞いにくるのと同じくらい、ありえなかった。
「私は……っ、ずっとお前に、伝えられないでいた……」
「伝える? 何を……」
「ヒザシの……最期の言葉を。彼が選択した、道を」
痛みも何もかも忘れて、ネジは呆然とヒアシを見つめた。頭を下げたまま、ヒアシは続ける。
「あの夜ヒザシは。自ら死を選んだ――そして私に言ったんだ。ネジに――お前に、日向ヒザシは木ノ葉を守って死んだと伝えてほしいと……」
「――そんなわけ……っ!」
あるはずないだろう、ずっと触れないでいるならまだしも、いきなり土下座してこんなことを話し出したって誰が信じるものか。言い
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