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木ノ葉の里の大食い少女
第一部
第三章 パステルカラーの風車が回る。
守りたいもの
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零す。

「いいかヒナタ、お前あいつに柔拳一発食らわせろ。いいな」
「う、うん。でもどうやって……」

 相変わらず自信なさげなヒナタに、お前死ぬ覚悟できてるよな、と紅丸を変化させながらマナが聞いた。え? と聞き返したヒナタの服が紅丸に掴まれ、そして投げ飛ばされた。悲鳴をあげながらぶっ飛んだヒナタが砂忍と激突しかける。

「今だヒナタッ」
「……あっ」

 ふと自分のすべきことを思い出した日向が空中で身を捻り、チャクラを纏わせた掌を砂忍に叩き付けた。ぐらり、と砂忍が吐血しながらよろめいたその瞬間、ヒナタの背後の空気の流れが変わる。
 ヒナタの背後から飛び出たのは、マナとマナに変化した紅丸だ。

「食らえッ、牙旋牙(がせんが)――!」

 キバと赤丸の牙通牙のように、体を回転させているのではない。マナと紅丸が自身の纏うチャクラをぐるぐると猛回転させているのだとヒナタは気づく。キバと赤丸の攻撃を研究し、体術スキルがゼロなマナと紅丸が考え付いた必死の技だろう。元は予選と本戦に使うはずだったのが実戦に使うことになるなんてなァ、叫ぶマナの声は勝気だった。

「ぐふっ……」

 どう、と砂忍の体が吹っ飛ぶ。飛び出た紅丸が変化を解き、その喉を噛み砕いた。ヒナタが顔を逸らし、マナが目を狭める。
 ざくり、と不意に足音がした。マナとヒナタは息を呑んだ。

「ちょっと」

 +

「だぁああああああああッ!」

 守鶴の鼻の上から、額の我愛羅目掛けて突進する。術の成功を喜ぶ暇もなく突進してくるナルトに、我愛羅は眉根に皺を寄せた。ずぶり、とナルトの両足が一尾の顔に埋まった。我愛羅が一尾の顔を一部砂へと変化させたためだ。ざあっと溢れてきた砂がナルトへと向かってゆく。
 ――砂漠柩!

〈親父ッ〉

 ガマ吉が叫ぶ。言われなくてもわかっとるわいとでも言わんばかりにガマブン太が口を開き、長い舌を出してナルトにぐるりとまき付かせる。砂がガマブン太の舌に弾かれた。

「なめるなぁあああッ」

 我愛羅が叫ぶ。ナルトの足の埋まっていた箇所から砂が這い登り、ずぶずぶとナルトを膝のあたりまで埋めていく。それでいながら一尾は自分を押さえつけるガマブン太を押しのけようとぐいぐい押してくる。先ほどの攻撃で殆どのチャクラを使い切っているナルトやガマブン太とは違い、我愛羅は今尚かなりのチャクラと力を有している。

「お前は俺に殺される……俺の存在は消えないッ」

 一見あまり関係のないように聞こえる言葉はその実我愛羅の奥底ではしっかりと結びついていた。ナルトを殺すことで、誰かを殺すことで我愛羅は生の実感を得られる。そうでもしないと我愛羅は自分か存在しているのか、それすら定かじゃなくなってしまう。
 
「……っ」

 
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