第四章
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「これいい鯉ね」
「買うかい?」
「そうね、じゃあ」
「この鯉買うね」
「そう、そしてね」
さらに言う店員だった。
「沢蟹もいいよ」
「沢蟹は確か」
ここで言ったのは蒔絵だった。
「茹でて」
「そうして食べるとええで」
「じゃあ私は」
沢蟹を買うことにした、るりかは金を持っていたのか鯉を買った。そうしてからそれぞれの家に帰った。
蒔絵は家に帰って家族に沢蟹を見せてそうしてから店の話をした、すると丁度朝食を食べていた三樹夫が言った。
「その店員さん何かあるな」
「何かって?」
「愛媛訛りがあったんだな」
まずはこのことから言う三樹夫だった。
「そうだな」
「そんな感じだったわ、私旅行で愛媛に行ったことあるからわかったわ」
このことがというのだ。
「それでなの」
「愛媛か」
「そうなの」
「それでその外見か」
今度は店員のそれの話をした。
「ひょろ長くて首が長くて頭が小さくて」
「つぶらな目だったわ」
「ひょっとするとその店員さんは」
三樹夫は考える顔で話した。
「獺かもな」
「獺!?」
「それかもな」
「あの、獺って」
その生きものの名前を聞いてだ、蒔絵は思わず言い返した。
「もう日本には」
「いないのよね」
一緒にいたちるも言ってきた。
「そうよね」
「もう三十年以上見た人はいない」
三樹夫は下の義妹である彼女にも答えた。
「もうな」
「ってことは」
「絶滅したと考えられている」
日本の獺はというのだ。
「もうな」
「そうよね」
「だが最近見たという人が増えているな」
「じゃあまだいるの?」
「いや、何でもニホンカワウソではないらしい」
三樹夫はちるにこう返した。
「イギリスの方の獺らしい」
「何でイギリスの獺が日本にいるの?」
「誰かが放したのが増えたのかも知れない」
それでいるのかも知れないというのだ。
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