暁 〜小説投稿サイト〜
第一章
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               獺
 打本蒔絵とちるの姉妹は母の再婚で家族になった義兄の三樹夫と仲良くはなった。だがそれでもだった。
 まだ何処かぎこちないものを感じていた、それは二人共だったが特に姉の蒔絵がそうだった。それでだった。
 蒔絵は自分達の部屋でちると一緒にいた時に彼のことをこう言った。
「義兄さんと私達まだよそよそしいわね」
「そうよね」
 ちるもこう返した。
「かなり打ち解けてきたけれど」
「それでもね」
「やっぱりまだね」
「うん、家族になって一年も経ってないしね」
 ちるはそれは仕方ないという感じで返事をした。
「だからね」
「まだ完全に打ち解けてないのは」
「仕方ないでしょ」
「あんたはそう言うのね」
「後はね」
 ちるは蒔絵に何処か達観した様に言った。
「時間が解決してくれるでしょ」
「そうしてくれるっていうの」
「そうよ」
 実際にというのだ。
「だから焦る必要はないでしょ」
「あんた楽観してるのね」
「というかお姉ちゃんが焦ってるでしょ」
 逆にとだ、ちるは蒔絵に言い返した。
「そうじゃないの?」
「そう言われると」
 蒔絵も否定出来ず難しい顔になって答えた。
「どうもね」
「だからそれはね」
「焦らないで」
「そう、焦らないでね」
 それでというのだ。
「じっくりと親睦と絆深めていけばいいでしょ」
「家族として」
「そうよ、別に義兄さん悪い人じゃないし」
 このこともわかっていた、三樹夫は不愛想なところもあるがそれでも悪人でないのは確かなのだ。それで言うのだった。
「だからね」
「じっくりとっていうのね」
「親睦深めていけばいいのよ」
「それじゃあ」
「そう、それでね」
「今はっていうのね」
「焦らなければいいじゃない」
 ちるは明るい声で笑って話した。
「そうでしょ」
「そんなものかしら」
「そうそう、焦らない焦らない」
「じっくりっていうのね」
「そうしていけばいいじゃない」
 ちるは笑って言うばかりだった、しかし蒔絵はもっと打ち解けたいと焦っていた。それで学校でもだった。
 同じクラスになって親しくなった広能るりかにも相談した、るりかは生真面目そうな外見の蒔絵とは正反対に肌をあえて日焼けさせて真っ黒にさせたうえ長く後ろで束ねている癖のある髪の毛をピンクに染め派手な縁の細い眼鏡をかけ制服もラフに着崩してアクセサリーを多く身に着けている。胸は九〇はありかなり目立つ、顔立ちは細めだがはっきりした目と小さい赤い唇と高めの鼻が特徴的な整っているといいものだ。背は高く一六八ある。 
 そのるりかに相談するとるりかもこう言った。
「大丈夫でしょ」
「このままゆっくりっていうの」
「打ち解けてね」
 そういっていってというのだ。
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