第一章
[2]次話
信じてはいけない
北巽伊代には悪い癖がある、それは読んだり聞いたりしたことを鵜呑みにする傾向があるということだ。
それでだ、ある日伊代は部活の途中に同級生達にこんなことを言った。
「何か予言ではね」
「予言?」
「予言ってノストラダムスとかの」
「そうなの。ブルガリアに何か凄い予言者がいて」
それでというのだ。
「その人が第三次世界大戦起こるっていうの」
「第二次世界大戦から随分経つけれど」
「三度目もあるの」
「そんな予言なの」
「何かロシアが核兵器使って」
伊予はかなり真剣な顔でその予言の話をしていった。
「それで世界が滅亡するっていうの」
「核戦争になるのね」
「ロシアが戦争起こして」
「そうだっていうの」
「それでロシアが世界を征服するらしいの」
そうした結末になるというのだ。
「何でもね」
「それならないでしょ」
「幾ら何でもね」
「確かにロシアの大統領怖いけれど」
「漫画やゲームのボスキャラみたいだけれど」
そうした外見や経歴だというのだ、何しろ元秘密警察の工作員で殺人格闘技を習得しているというからだ。しかも圧倒的な強権を以て国を治め暗殺だの何だのいう話が尽きない人物だ。
だからだ、同級生もその大統領についてはこう言った。
「冗談で倒すとか言ったらね」
「その時点で何されるか」
「そんな怖い人だけれど」
「予言はね」
「幾ら何でもね」
「ないでしょ」
「世界を滅亡させるとか征服するとか」
「ちょっとね」
「そうなの?私このお話聞いて本当に怖かったけれど」
伊予は同級生達に言った、共に学校のグラウンドを走りながら。走るスピード自体はかなりのものである。
「ならないの」
「ならないでしょ」
「ロシアが核戦争を起こすとか」
「何かの漫画じゃないから」
「そりゃ確かにあの大統領何しても不思議じゃないけれど」
「あの目はやばい人の目ってうちのお祖父ちゃん言ってたしね」
ヤクザの親分より危険な人間の目だというのだ、まさに独裁者の目だとだ。
「あのアメリカにも中国にも平気で対決してるし」
「容赦なく軍隊送るしね」
「そんな人にしても」
「核兵器は使わないでしょ」
「流石に」
「そうなのね。じゃあこの予言は」
ブルガリアの予言者がしたということはというのだ。
「当たらないの」
「というか予言って当たるの?」
「後で言うパターンも多いわよ」
「何処かで自信があったとかね」
「強引なこじつけで言ってる人も多いし」
「はっきり言ってる予言ってないし」
「そうそうね」
だからだというのだ、こう話してだ。
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