第七話 タイムリミット
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バトスは応えない。
「俺と一緒に戦ってくれるのか?」
バルバトスは応えない。
そもそも応えなんて返ってくる訳ない。
そう、その筈だが────バルバトスは俺に手を差し出してきた。
「乗れっていうのか?」
バルバトスは応えない。
だが、これだけは伝わってきた。
お前と一緒に戦いたい────と。
「なら、遠慮なくお前を使わせてもらうよ」
バルバトスは応えない。
代わりに、俺のズボンのポケットから光が放たれた。
「な、なんだ……?」
俺はズボンのポケットに手を突っ込み、光を放つ物体を取り出す……それらクーデリアの手紙と共に送られてきたペンダントだ。
ペンダントの中央部分の宝石が光り輝いている。
「これって、」
その光はとても暖かく、心地よいものだった。
「────アカツキ、聴こえるか!?」
バルバトスのコクピットからオヤっさんの声が響き渡った。
恐らく、通信によるものだろうが、余りの音量の大きさに両耳を塞いでしまう。
「そんな大きな声、出さなくても聞こえるよ」
俺は、バルバトスのコクピットに乗り込み音量を下げる。
「おおっ!
無事だったか!」
その声は先程と同じく、とてもクリアな音質で通信状況も良好だった。
……よく見ると先程まで充満していた エイハブ・ウェーブの濃度が下がっている。
先程までの高密度の エイハブ・ウェーブは何だったんだ?
「さっきからろくに通信も繋がらねぇし、バルバトスの識別子コードが消えちまうし……一体、そっちはどうなってんだ?」
「色々あってね。
さっきまでバルバトスが動かなかった」
「動かなかったって……?
まさかどっかイカれたのか?」
「いや、損傷とかじゃないみたい。なんな、バルバトスってあのモビルアーマーの声を聴くと動かなくなるみたいなんだ」
機体の状態チェックをしつつ俺は答える。
やはり、何処を調べても機体に破損の形成はない。
有るとしたら……あのモビルアーマーを聴くとバルバトスのリミッターが一時的に解除される事くらいだ。
恐らくは、これが原因でバルバトスは機能停止になったんだろうが……何故、モビルアーマーの発する声でバルバトスのリミッターが解除されるんだ?
「モビルアーマーの声でって……。まさか、いや……そのまさか……」
「心当たりでもあるの?」
「まぁ、少しな。
アカツキ。モビルアーマーの発する、その声とやらのデータをこっちに送ってくれ。俺の憶測が正しければ……アイツはヤりにくい相手だぞ」
「そんなの最初から分かってるよ。
データは今すぐ送るから手短に説明してね」
「おくよ。
……おっし、受信完了だ。
…………………………。
成程やっぱりそうか」
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