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ランス 〜another story〜 IF
第7話 魔人ホーネット
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分の力不足のせいだった。そのせいで……すべてが終わりを告げた。 かすかに眉を寄せ、ケイブリスよりも不甲斐ない己自身を呪ったその時だった。




『セラクロラス。頼む!』
『うんー…… 判ったー。……でも、ユーリ……痛いよ?』
『それくらい構わない、だから急いでくれ!』
『判ったー…… うーん、とまれとまれとまれ〜〜〜っ!』




 自分とケイブリス、そして 使途たちしかいないこの場所で、声が聞こえてきた。


『あん? 一体だ……れ………………』


 その途端にケイブリスの身体が石のように固まっていく。
 一体何が起きているのか……、はっきりと判らなかった。意識が混濁していて、幻覚や幻聴でも聞こえるのではないか? と思ってしまった程だ。

『うん…… おっけー。この部屋。ケイブリス周辺の時間だけ完全に止めたよ……』
『っ……あ、ぁぁ。あり、がと……な』
『……ユーリ、やっぱり痛い……。そんなユーリ見てるの……辛い』
『っ……。大丈夫だ。セラクロラス。それに、知ってるだろ? オレがもっと嫌なのは……』
『うん……。傷つく事、だよね……。だから、急いでー……』

 間違いなかった。幻覚じゃない。
 そして この声には聴きおぼえがあった。名前にも……聞き覚えがあった。

『ったく。ユーリ。瞬間移動でここまで連れて来いって時点で無茶苦茶なのに、更にそんな負担かけて……。アンタってヤツは』
『ハンティ。お叱りは後だ。……先にする事があるだろ。此処で効力が切れたらその時点でオレ達は全滅だ』
『判ってる。ちゃちゃっと終わらすよ。……んッ!』

 光が輝いたかと思えば、自身を封じていた結界が完全に破壊された。

『ふぅ……。時間が止まってる間は攻撃出来ないし、しても意味ない、か。んー、なら 止まってる間に魔封印結界みたいなの仕掛けとく、ってのはどう? 敵の総大将だし、その時点で戦争終了になりそうじゃない?』
『多分ケイブリスに通じない。コイツは最古の魔人。魔王ククルククルの魔人。その力を甘く見るのは危険だ。変に警戒を強化されるのも後々厄介になる』
『だろううな。ったく…… ユーリも大概反則的って思ってたのに、コイツも規格外の魔人か。……ま、今はユーリは消耗してるし、ここにきてるのは私とセラクロラスの3人だ。あんま突っ込んだ無茶はしない方が良いか』

 ハンティがそう言って手を上げたその時だ。

『おそく……なってすまない。ホーネット……ッ』

 身体を引き摺りながら 傍へと向かうユーリ。その囚われていたホーネットを、ユーリは抱きしめた。

『あっ……あっっ……』

 ずっと気丈に振る舞い、何を言われても、たとえ使途達が犠牲になっても表情にも出さなかったホーネットが綻びを見
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