第27話 黒狐の暗躍
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は優秀だと評価されている以上、後方勤務でなら出世できる可能性が有る………。本部長閣下はそう言われるのですか?!」
「そうだ。作戦部門で干されるよりも、後方勤務部門で栄達したほうが、まだいいと思うが。」
「………理由は何です?」
「? 理由?」
「小官を、『作戦家として無能』だと断定する、その理由は何です?! ご存じなら教えてください!」
「……ひとことで言えば、『教科書通りの作戦しか立てられない』からだそうだ。」
「…教科書通りの作戦の、どこが悪いのです!」
「…屁理屈はやめたまえ、フォーク中尉。『教科書通りの作戦を立てる』のと、『教科書通りの作戦しか立てられない』のとでは、まったく意味が違う。貴官にそのことが解らないはずはない。」
「う……。」
「もし貴官が、『教科書通りの作戦では目的が達成できそうになく、ゆえに教科書通りでない作戦が求められる場合でも、教科書通りの作戦しか立てられない』のだとしたら、私でも貴官のことを『作戦家としては無能』だと断定する。……そうせざるを得んよ。」
「………。」
「本当に貴官が『教科書通りの作戦しか立てられない』のかどうかは、私は知らん。しかし、いずれにせよ『作戦家としては無能』という結論が、既に出ている以上、貴官が将来、作戦部門で栄達できる可能性は、まず無いと見ていい。それなら、『デスクワークでは優秀』と評価されていることを生かして、後方勤務での栄達を目指したほうがいい。」
「・・・・・・・・・」
「それにだ、私は貴官の事を、セレブレッゼ中将やキャゼルヌ大佐同様に、後方勤務本部で得難い人材だと、常日頃思っているんだ。軍人なら誰でも知っている通り、戦争とは後方無くして戦うことは出来ん。何も前線で戦うだけが、軍人ではないのだ。フォーク中尉、後方勤務本部でお互い頑張ろうではないか」
そう言われたフォークであるが、無言のまま一礼して部屋を出ていった。
ニシナ本部長はその姿を見ながら、今は暫く頭を冷やさせてやろうと思いながら、自分の元に上がってきている決算書類の処置を始めるのであった。
帝国暦483年1月20日
■フェーザーン自治領 自治領主オフィス アドリアン・ルビンスキー
「そうか、アルレスハイムでの帝国の損害は6割を越えたにも関わらず、
同盟にはたいした損害を与えられなかったか」
「はい、奇襲すべき艦隊全くタイミングを計らず狂乱の末の敗北です」
「しかし、カイザーリング中将は貴族にしてはなかなかの人物だと聞いていたが」
「部下の掌握に失敗したのでしょうか?」
「まあ過ぎたことは仕方有るまい。所で、又ぞろ同盟ではイゼルローン要塞攻略戦を決めたようだな」
「はい、ジリコフスキー弁務官から報告が来ております」
「同盟も懲り
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