最終章:夢を追い続けて
第69話「天才の姉、努力の妹」
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念の籠った一撃と、束の気合が込められた一撃が、ぶつかり合う。
そして、“火”と“土”の差があるにも関わらず、相殺された。
「追い、ついた……っ!!」
「くっ……!」
例え、いかな成長を遂げようとも、戦いの最中に天才に追いつくのは無理がある。
箒は気づいていない事だが、これは執念などの想いによる一時的なものだ。
だが、その一時的な力が、束を追い詰めている。
「はぁあああっ!!!」
「っ、はぁっ!!」
互いに気合の込められた声が漏れる。
箒の意地と、それを受け止めようとする束の想いのぶつかり合い。
傍目から見れば、それは何とも泥臭く見えた戦いだっただろう。
普通に考えれば、いつもの束の方が綺麗で、強そうな剣戟に見える。
だが、実際に相対している箒には理解できた。
……これが、束の全力で、今までで最も強い状態なのだと。
「(だからこそ、超えるっ!!)」
既に箒の体はボロボロだ。
体中が床などに打ち付けた事で痛みが走っているし、体内も無事ではない。
限界を超えて戦い続ける箒の神経や筋肉は、今にも使い物にならなくなりそうだ。
―――故に、決着はすぐそこにあった。
「ぉおおおおおっ!!」
「ッ……!?」
ギ、ギィイイイイイン!!
束のブレードが、油断も慢心もなく、箒の手によって大きく弾かれた。
さしもの束も、それをすぐさま引き戻す事はできず……。
「っあっ!!」
「か、はっ……!?」
箒によって、無防備な胴へとブレードの峰が叩き込まれた。
「……私の、勝ち、だ。……姉さん……」
「っ……そう、だね」
床に転がり、ブレードを突きつけられた束は、敗北を認める。
箒の執念、気合、ありとあらゆるものが詰まった想いが、束の力を上回ったのだ。
「……理屈とか、まるっと無視して勝っちゃうなんてね……」
「っ、はぁ、はぁ、天才の姉さんに勝つには、理屈なんて、気にしてられません……」
「それもそうだね」
納得したように束が呟くと、箒は崩れ落ちるようにその場に倒れた。
「あ、れ……?」
「……動かない方がいいよ。明らかに無理してたし、これ以上無理に動けば筋肉とかが使い物にならなくなるかもしれないから」
箒の実力で束に勝つには、当然ながら無理があった。
その代償が、今の箒の状態である。
戦闘中は気づいていなかったが、もう少しでも無理をすれば、筋肉がちぎれていた。
「……後は、見届けるだけかなぁ……」
箒も束もすぐには動けない。
お互い、床に転がりながら、残りの戦い
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