最終章:夢を追い続けて
第69話「天才の姉、努力の妹」
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「(力、速さ、鋭さ、判断力、洞察力、全てで上回られるか……!)」
分かっていた。わかっていた事なのだ。
……だが、それでも驚かずにはいられない。
「(属性……いや、ダメだ。姉さんは全属性扱えると言っていた。使ってもまともに敵うはずがない)」
そもそも、今は互いに属性を使わない状態で戦っている。
私が属性を宿していないから、姉さんも対等であろうと手加減してくれているのだ。
……手加、減……?
―――ギリィッ……!
思わず、歯ぎしりしてしまう。
「(この期に及んで、手加減……だと?ふざけるな、ふざけるな!殺し合いではないとはいえ、これは真剣勝負だ!手加減なぞ……!)」
いや、そもそも、そうさせたのは誰だ?どうしてなんだ?
……私だ。私が属性を宿していないから、こうなっているんだ。
「っ……!」
憤りを感じた。姉さんにではない。私自身にだ。
一体何をしているんだ?この期に及んで“甘え”が出ているぞ?
……全力でぶつからなくては意味がないだろう?
ギィイイイン!!
「ッ……!」
「っとぉ……!」
「は、ぁっ!!」
ギギギギギィイイン!!
間合いを詰め、斬る。
ただ我武者羅にではなく、篠ノ之流を修める者として、狙いを定めて斬る。
私の突然のスピードアップに、姉さんは即座に対応してきた。
だが、僅かに遅い。間髪入れなければ、こちらが優勢だ……!
「甘いよ!」
「っ!!」
……尤も、“優勢”なだけで、勝てる訳じゃない。
攻撃と攻撃の合間に繰り出された一閃に、思わず後退してしまう。
「(実力が私の方が劣っているというのに、優勢になっただけで勝てる訳がないだろう。私は馬鹿か……!)」
姉さんは積極的に攻めてくる事はない。
だが、お互いに隙を伺っている。
ジリジリと、距離を保ったまま部屋の中を回る。
「(さっきのように行く事は絶対にありえないと思え!ここから先は姉さんも属性を使うはずだ。……ただ全力でぶつかる!!)」
搦め手などが苦手な私は、結局それしかあるまい。
普通にやっても通じないのであれば、通じるまで試せばいい。
「はぁああっ!!」
「っと」
ブレードを振るう。防がれる。
再び振るう。今度は躱される。
また振るう。逸らされ、反撃が繰り出された。何とか躱すも、体勢を崩す。
だが、そこを踏ん張り、再びブレードを振るう。
……姉さんの目が、少しだけ見開かれた。
ギィイイイン!!
「ぐ、くっ……!」
「っ……はっ!」
「っあ……!」
体勢を立て直しつつ、防がれたブレード
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