最終章:夢を追い続けて
第69話「天才の姉、努力の妹」
[1/10]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
=箒side=
姉さんは、天才だ。
それは、今や世界中の誰もが知っている事だ。
天才で、なんでも出来て、そのせいで周りと上手く関係を持てなかった。
“なぜ、自分のように出来ないのだろう”と、そう思ってしまっていた。
そのため、周りを下に見てしまい、関係が持てなかったのだろう。
そんな時、千冬さんと桜さんに姉さんは出会った。
桜さんは姉さんのように、千冬さんは別方面で天才だった。
だからこそ、意気投合し、また頭脳では天才ではない千冬さんがいたからこそ、周りに対する理解もマシになったのだろう。
「………」
……そんな天才な姉さんの本気を、私は見た事がない。
なまじ天才なため、実力を出し切る機会がなかったのもある。
桜さんや千冬さんが本気を出させた事があっても、私は直接見た事はない。
父さんも篠ノ之流の当主として立ち会った時、見た事があったらしいが……。
「っ………」
そんな姉さんが、今、私の相手として立っている。
対峙する。それだけで理解ができた。
“普段から本気が見られない”。その訳が。
「(隙が……ない……!)」
私の知る、ふざけた態度の姉さんとは大違いだ。
これが姉さんの本気であり、私に対する誠意なのだろう。
「………!」
篠ノ之流は、何も“剣道”だけじゃない。
“剣術”としても知られている。
道場として機能しているのは、基本的に“剣道”の方だが……。
高校生まで、私は家の流派を“剣道”としてしか習っていなかった。
だが、今は“剣術”としても篠ノ之流を修めている。
……それが、何を意味するかと言うと……。
「……っぁあ!!」
「っ!」
ギィイイン!!
今の私なら、例え全力の姉さんが相手だろうと、立ち向かえるという事だ。
「……まさか、真正面から来るとはね」
「どこからでも同じでしょう」
短く会話を交わした瞬間、私のブレードが弾かれる。
そのまま返すブレードで私を狙ってきたので、しゃがんで躱す。
同時に足払いを掛けるようにブレードを振るう。
「っと」
「っ!」
だが、それはあっさりと跳躍して躱され、落下を伴った振り下ろしが繰り出される。
咄嗟に横に転がる事で、それを回避する。
「くっ!」
ギィイイン!
そして、起き上がる前にブレードを盾のように構える。
そこへ斬撃が叩き込まれる。
「っ……!つぁっ!!」
「ッ!……っと」
受け止めた状態から何とか逸らし、気合と共に一閃。
結果は避けられたが、これで一度間合いを取る事ができた。
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ