棺運びと猫
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、っといった特大の奴でさぁ。
一瞬風の音しか聞こえなくなりやしたが、次の瞬間、風は何事もなかったように止んでいる。
風が止んだ後恐る恐る目を開けてみやしたが、やっぱり何もなかったみたいに、縁台も、その上の菓子や茶も無事。
宍甘の旦那も莞柳の旦那も何が起こったのかわからないのは同じみてぇで。
変わってたのは、棺と、ずーっと莞柳の旦那の傍にいた猫だけ。
女の入ってた棺と猫が、跡形もなく消えてるんでさぁ。
辺りを見回しても、カゲすら残ってない。
「お、おい。棺はどこ行ったんだ!」
宍甘の旦那が慌てて言いやした。まあ普通はそうなりやすよねぇ。旦那は棺に気を取られて、猫のほうには気づいてねぇみたいでした。
「火車がでた」
あっしと莞柳の旦那の声が、ぴったり揃いやした。
火車は、猫みたいな恰好をした、バケモノというよりは地獄からの使いみたいな奴で、悪事を働いた人を、棺ごと地獄へ連れてくとかいいやす。
風が吹いて棺が無くなったら、まずこれの仕業で間違いないんでさぁ。
この事を宍甘の旦那に言ったら、旦那は少し考えて、顔をあげやした。
「地獄の使いが、気持ち悪いくらい粋な計らいをしたってぇことかい?」
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