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真田十勇士
巻ノ百三十三 堀埋めその一
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               巻ノ百三十三  堀埋め
 幕府と豊臣家は講和することになった、すぐに常高院から茶々にそのことが伝えられた、常高院は姉に話した。
「姉上、幕府も講和をです」
「よしとじゃな」
「しました」
「そうか、それは何よりじゃ」
 茶々は上の妹の話を聞いてまずは笑った。
「わらわにとってもな」
「それでその条件ですが」
「何とある」
「姉上が大坂にいてもよいとこのことです」
「そのことは絶対じゃ」
 茶々は砲撃の時の気弱も何処へやら常高院に強い声で応えた。
「わらわは天下人の母、ここは天下の城じゃからな」
「この大坂城からはですね」
「出る筈がない」
 このことは絶対だというのだ。
「何があろうともな」
「はい、それで城におられるならです」
 それならとだ、常高院は茶々にさらに話した。
「一つ条件があるとのことです」
「条件とな」
「はい、惣構えの堀を埋めて頂きたいとです」
「長者殿は言っておられるのじゃな」
 家康を今の立場で呼んだ茶々だった。
「その様にじゃな」
「はい、長者様は言っておられます」
「左様か、堀位よい」
 茶々は妹に笑みを浮かべて答えた。
「別にな」
「外堀ならですか」
「それ位何でもないわ」
 笑ったままで言う茶々だった。
「だからじゃ」
「それでよいと」
「うむ、全くな」
「あの、後で講和の約束ごとを書いた文をお渡ししますので」
「そうしてか」
「よく読まれてです」
 そのうえでとだ、常高院は姉を心配している顔で見つつ述べた。
「お決め下さい、そしてなのですが」
「またその話か」
「はい、私と一緒に住みませんか」
 またこの申し出をするのだった。
「大坂を出て」
「そう言うか、そなたは」
「そうされませんか」
「馬鹿を申せ、今言った通りじゃ」
「姉上は天下人のお母上だからですね」
「大坂を出ることはない」
 この大坂城をというのだ。
「決してな」
「そうですか」
「うむ、それはない」
「ここにおられるなら堀を埋めることもですか」
「何でもない、外堀位埋めてもじゃ」
 例えそうしてもというのだ。
「何でもないわ、だからじゃ」
「この話はですか」
「結ぶ、喜んでな」
「文をお渡ししますので」
 忠告だった、明らかに。常高院は上機嫌のまま言う姉にさらに言った。
「よく読まれてです」
「決めよというのか」
「はい、姉上が大坂から出られるならです」
 このことも話す常高院だった。
「長者様は堀を埋めずともよいとです」
「言われておるのじゃな」
「はい、このこともお忘れなき様」
「全く、長者殿はそこまでしてわらわをこの城から出したいのか」
 茶々は家康が常に言っていることなのでこのことはわか
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