第八章 魔法女子ほのか (Bパート)
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ーケトルの叫び声。
「吸い寄せられるんです!」
「俺は本気を出せば、このように空間そのものを切り取り、消滅させることが出来るんだよ! お前も空間ごと存在自体を切り取ってやるよ、魔法女子ほのか!」
喜悦の叫び声、その破壊的壊滅的な攻撃から逃れようと、必死の跳躍を試みるほのかであるが、下がった距離の分以上に空間を切り取られてしまい、二人の間はだんだんと近づいていく。
あとわずか数メートルというところで、
「武器っ、武器を作れっ!」
思い出したように、ニャーケトルが叫んだ。
「そ、そうでしたっ!」
ほのかは必死に抗いながらも、目を閉じて、なんとか集中。念じ、右手に握ったファイアリーロッドを天へと掲げた。
ごう、と炎の龍が宙をうねり、消えたかと思うと、すーっとなにかが落ちてきた。
思念を具現化させて、無から武器を生み出す。前回の敵であるマーカイ獣ゾコルピオンとの激闘によって引き出された、ほのかの魔法女子としての新たな力だ。
ほのかはファイアリーロッドを心の中に戻して、代わりに落ちてきた新たな武器を掴んだ。……のであるが、
「にゃんだ、そりゃあ!」
ニャーケトルの、なんともいえない間抜けな声。
「え、ええっ! ああっ、これピコタンハンマーだっ!」
真っ赤な、合成樹脂製で柔らかい、叩くと中の笛でピコッと音が出る。ほのかが手にしていたのは、そんな幼児用の玩具であった。
「ひょっとしてえ……」
ぽわわわん、とほのかの回想シーン。
デパートの玩具売り場で、幼児と一緒になって玩具を振り回して遊んでいるところ。
『つ、次っ、次はあ、私がシャラシャラの役ですう。いきますよー、ひっさーつピコタンハンマーーっ!』
回想シーンの画面にヒビが入り、ガラスのようにバリンと割れ、
「んな幼稚なことばっかりしてっから、そんなもんが出来ちまうんだよ!」
激怒した表情のニャーケトルが、割れたガラスから顔を出した。
「そ、そんなこといわれてもっ!」
「クソの役にも立たねえもん作りやがって」
「でも、なにか隠された力があるかも知れない。ええいっ!」
ピコン。
あと一歩の距離にまで吸い寄せられたほのかの、先制攻撃。ピコタンハンマーで、マーカイ獣ヴェルフの頭を叩いたのだ。
「えいっ!」
もう一回、ピコン。
「お前なあ……」
マーカイ獣ヴェルフ、すっかり呆れ果てたか、ぶんぶん腕を振るうことも忘れて棒立ちであった。
しばし見つめ合う、二人。
の、間に流れる非常に気まずい空気。
沈黙。
その沈黙に、先に耐えられなくなったのは、マーカイ獣の方であった。
「舐めてんのかそれはあ! ふ
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