第八章 魔法女子ほのか (Bパート)
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。
ゆっくりと、注意深く、ほのかは起き上がる。
ふわふわと、ニャーケトルが近付いてくる。
「効果、あったのか……」
「分かりません」
というほのかの顔に、驚きの表情が浮かんでいた。
もうもうとした煙が晴れると、そこにはマーカイ獣ヴェルフが、平然とした顔で立っていたのである。
「蚊にさされた方が、よっぽど効くぜえ」
余裕そうな口調に、表情。
強がりなどではなく、確かにまったく効いていない様子であった。
マーカイ獣は、言葉を続ける。
「だけどよ、お前さあ……すっトロそうな顔してるくせに、さっきからチョロチョロと動きやがって、あったまくんだよなあ!」
吠えた。
空間どころか時をも揺るがすような、凄まじい吠え方であった。
どむ!
一瞬にして、マーカイ獣の上半身が大きく膨らんでいた。ただでさえ凄まじい筋肉量であったのが、数倍に増していた。
ほのかは、ひいーーっと情けない声を上げ、おどおどした表情で後ずさった。
「や、やっぱり逃げてもいいですかっ?」
涙目で、ニャーケトルに尋ねる。
「いいわけねーだろ!」
「だだ、だって、なんだかっ、だってだってっ」
筋肉の塊になったマーカイ獣を指差しながら、必死になにか訴えようとしている。あんな怪物に勝てるわけない、ということだろう。
だが、その指差す先に、マーカイ獣の姿はなかった。
消えていた。
そして、上空でなにかが風を切った。
「くたばりやがれえっ!」
情けなく怯えているほのかを、頭上から、マーカイ獣ヴェルフのさらに凶悪さを増した爪がぶぶんと唸りをあげて襲った。
紙一重、なんとかかわすが、そこへマーカイ獣ヴェルフの、着地ざまの一撃。
それすらも、とんとつま先で地面を蹴ってかろうじてかわすほのかであったが、だが、攻撃の勢いはあまりにも凄まじく、風圧によって吹き飛ばされていた。
「ぐっ」
大木に、背中を打ち付けた。
バキバキと音がして、大木は見るも簡単にへし折れ倒れた。
それだけの攻撃を受けたというのに、ほのかは痛みに顔をしかめつつも、すぐに立ち上がり、きっ、と前を向いた。
マーカイ獣ヴェルフが残忍そうな笑みを浮かべ、獲物を仕留めるべく雄叫びあげながら身体を突っ込ませてくる。
ほのかは、距離を取って体制を立て直すべく、大きな跳躍で後方へ下がった。
しかし……
「逃さねえ!」
ぶぶんっ、
ぶぶんっ!
「え、え……」
ほのかの目が、驚きに見開かれる。
マーカイ獣が腕を振るたびに、ほのかの身体が、胸ぐらを掴まれ引っ張られているかのように、引き寄せられていく。
「なにやってんだ、ほのか!」
ニャ
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