第八章 魔法女子ほのか (Bパート)
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の中年男の姿があったのである。
「だだ、だいじょう……」
「グガーーッ」
気持ちよさそうな大イビキに、ほのかとニャーケトルは仲良く車体に顔面強打。
「あいたあ。なんか気持ちよさそうに寝てるんですけど……って、お父さんじゃないですかああ! なに仕事さぼってるんですかああ!」
そう、タクシーの運転手は、ほのかの父、惚笛平八だったのである。
「もう、こんな状況になっても眠り続けているなんて、どれだけ鈍いんだか」
「遺伝か」
ニャーケトルがぼそり。
「なにがですか? 私は鈍くなんかないですよ」
「悪い悪い。分かってるよ、本当はウスノロなんだってこと」
「そうですよお。私はウスノロなんですから。……ところでウスノロってなんですかあ?」
などと軽口投げ合いながら、ほのかはタクシーの車体に両手をかけると、
「よいしょ」
華奢そうに見える細い身体の、どこにそんな力があるのか、ひっくり返って逆さまになっていた巨大な金属の塊を、ごろり一回転させて起こしてしまった。
「お仕事を怠けていたこと、お母さんにいいつけた方がいいのかなあ。……それとも、黙っていてあげるかわりに、なんか買ってもらおうかな。……って、それは後の話。それよりも、いまは……」
ほのかは木陰から、舗装路へと出た。
ようやく居場所を探り当てたか、正面からマーカイ獣が歩いてくる。
ばちり火花を飛ばし合う合う二人。
ほのかは、ぎゅっと拳を握った。
『いまはとにかく、マーカイ獣を倒すこと。たまたま悪運の強いお父さんだったからよかったけど、普通の人だったら絶対に大怪我してたよ。……なんだか今回の相手はやたら凶暴そうで怖いけど、でも、だからこそ……』
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ほとんど同じタイミングであった。
マーカイ獣ヴェルフが咆哮を上げながら走り出すのと、ほのかが意を決した表情で走り出すのは。
「ファイアリーロッド!」
走りながら叫ぶほのかの右手に、鼓笛隊のバトンのような、きらびやかに装飾された棒状の物体が握られていた。
魔法女子の基本装備である、ファイアリーロッドだ。ほのかの一声で、いつでも思念を実体化させて取り出すことが出来るのである。
ぎゅっと握りしめ、走り続ける。
風を切って走る二人の距離は、一瞬にして密着するほどに接近していた。
ぶん、と爪が唸りをあげる。
ほのかは、身体をひねって紙一重でかわしながら、ファイアリーロッドの先端でマーカイ獣の腹部をついた。
どおん、と爆発し、二人の姿は真っ赤な爆炎に包まれた。
マーカイ獣は後ろへ吹っ飛ばされ、技を放ったほのかも自らの爆風によって地面に身体を叩きつけられた
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