暁 〜小説投稿サイト〜
SAO−銀ノ月−
ホロウ・リアリゼーション-alternative-
「……わたしを、つれていってくれませんか?」
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なる小物類がリズの手にはあって。呆気に取られたこちらが逃げる間もなく、リズのイメチェン術が炸裂することとなると――

「……どう?」

「簡単に言えば……そうだな」

『妖精の世界に現れた、大道芸人に扮した暗殺者』

 ――微妙に違う表現を用いられていたものの、ショウキもリズも似たような第一印象を述べていた。シルクハットにゴーグル、マフラー、ローブを纏ったその姿は、明らかなミスマッチかつ装飾過多な芸人のようだ。ただし入念に顔を隠した奥から見える、射抜くような眼光には暗殺者のような冷たい印象を与えてきて、そう見るとマフラーも暗器が仕込まれているかのような錯覚を覚えて。

「……いいんじゃないかしら?」

「変わってやろうか」

「でもインパクトは抜群よ? ……絶対に変わりたくはないけど」

 シルクハット、ゴーグル、マフラー、ローブ。どれか一つならばアクセントにでもなっただろうが、それを全てぶちこんだ為にこんな大道芸人か暗殺者になってしまって。そんなイメチェンとは果てしなく違う結果となった元凶は、いけしゃあしゃあとそんなことを言っていて。

「っと……!」

「い、いらっしゃませー! ……って、あら?」

 しかしてこのイメチェンのことは後回しだと、二人はとにかく行動していた。ショウキは鉄板の方で焼いていたまま放置していたホットドッグを、焦げる直前でそのままの状態に保つブランケットに放り込んでいき、自分たちがいない時にも店員NPCが最低限の応対が出来るように準備していれば。客が来たことに気づいたリズは……何やらすっとんきょうな声をあげていたために、ショウキも店頭を見てみると。

 ……そこには、見覚えのある少女が何も言わずに立ち尽くしていた。

「……ショウキの知り合い?」

「いや、知り合いというか……さっき会ったばかりだ。ほら、さっきの話のNPC」

 そこにいたのは、ショウキにこのイグドラシル・シティへと連れて行ってほしい、と頼んできたNPCの少女だった。特徴的な黒髪ぱっつんと水色のワンピースを着た小柄な姿は、流石にその特異性もあって忘れられるはずもない。

「ああ、あの……あなた、何か用?」

「ごきげんよう」

「クエストの続きか……?」

 リズの問いかけにはよく分からない応対が返ってきて、少女の用件は結局はっきりしない。先のクエストの続きかとショウキも店頭に出てみれば、少女はやはりショウキの方を向いていた――いや、正確には。

「お腹すいてるのかしら……?」

 リズが耳打ちしてくる言葉にノータイムで自ら頷けるのも分かるほど、少女はショウキではなく、つい手に持ってきてしまっていたホットドッグを凝視していた。作り置きのためのホットドッグなので、確かに出来立てホヤホヤ
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