ホロウ・リアリゼーション-alternative-
「……わたしを、つれていってくれませんか?」
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るにはどうすればいいかと髪を掻いていれば、楽しそうにニヤケているリズと視線が交差する。
「……楽しんでそうだな」
「あら、分かっちゃう?」
「ああ、体全体から伝わってくるよ」
「見本ってことね」
ぬけぬけと言ってのけた後、今まで我慢していたかのようなリズの笑い声が店内に響き渡った。自然と縮こまってしまうショウキに対して、わざわざ炉まで歩いてきてリズから背中への激励を頂戴する。
「ごめんごめん……でも、そう簡単に変わられちゃ困るかも」
「困る?」
「ええ。あたし、ショウキがいっぱいいっぱいなとこ、応援するのが好きなのかもしれないのよね」
「……是非とも、勘弁してほしいような、歓迎したいような」
背中を叩いてきたあとは肩を掴んで、その『困る理由』とやらを言いながらいい笑顔を見せてくるリズに、どうリアクションするべきか苦笑いで返して。ああ、彼女は自分のこんな『困った』様子が好きなのか――と、未だにクスクスと忍び笑いをもらすリズの趣味嗜好のことを、ショウキはどうにか多少なりとも理解する。
「じゃあリズベット先生の授業! やっぱりね、イメチェンとかすればいいんじゃないかしら?」
「イメチェン?」
「そ。ほら、せっかく新しいアバターになったって言うのに、あんたってば目付きと柄が悪くなっただけじゃない?」
「……確かに」
ショウキも中断していた作り置き出来るホットドッグの作成に戻りながらも、本当に楽しそうにしているリズから、何やら怪しい授業の開幕を指示される。あんな表情が見れるのならば、たまにはこうして困るのも悪くはないと、たまには、を強調しつつショウキは思うものの。
「だから、思いきってイメチェンしちゃえば、ちょっとは変わるんじゃないかしら」
「なるほど。でも今さらアバターをまた変えるのは」
「そこまでする必要はないわよ! ちょっと服を変えてみるだけ」
とはいえリズベット先生の授業はあながち的外れとは言えない内容であり、レプラコーンとしてはあまり有利には働かないであろう、柄の悪い銀髪と射るような目付きのアバターを再確認する。リアルと同じ童顔から解放された当のリズも、伊達眼鏡や着流しツナギなどといったオシャレを試行錯誤して楽しんでいるようで、服装も変われば意識も変わるというのもあるやもしれない。
「という訳で仕入れてきたわ! ショウキのイメチェン用の服!」
「待て」
「待たないわよー? あんたが選んだらイメチェンにならないでしょうが、ほら! 観念なさい!」
……と、少しだけリズの言うことに納得してしまったが最後、どこから取り出してきたかも分からぬマフラーや帽子、コートにネックウォーマーなど、どこにスキーにでも行くんだと言いたく
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