ホロウ・リアリゼーション-alternative-
「……わたしを、つれていってくれませんか?」
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ではあるが。
「……食べるか?」
「いいのですか?」
「ああ」
「では、いただきます」
NPCの少女にそんな魂胆があったかどうかは不明だが、無言の誘惑に抗えずに少女へホットドッグを明け渡す。それでも少女は特に表情を変えるようなことはなかったが、心なしか瞳を輝かせながらホットドッグを手に取った。
「はむ、はむはむ、もきゅ……」
「ゆっくり! ゆっくり食べなさい!」
ただし浮遊城に赴く男性プレイヤー向けに作られたもののため、少女には少しホットドッグは大きかったようで。一生懸命に頬張ってはいたものの、それでも食べるのには手こずってしまっていた。見かねたリズの指示を受けてからは、少しずつ食べていったために、見ててひやひやするようなことはなかったが。
「……ごちそうさまでした」
「お粗末様」
「あ、ちょっと……ほら、ケチャップついてるわよ」
そうしてホットドッグはNPCの少女の胃袋へと収められ、少しだけ無表情からほころんだような気のする表情にて礼をされたが、リズが口の近くを拭いても反応しない姿はやはり人形のようで。サイズの違うホットドッグを無理やり頬張った代償に、口の近くをケチャップで汚しまくった姿には、非常に愛嬌を感じるものの。
「はい、綺麗になったわよ。ねぇショウキ、この子……」
「……わたしを――」
そうしてハンカチを赤く染めたリズが何か言おうとするより早く、少女が祈るように両手を合わせるとともに、最初に会った時のようにクエストログが更新される。そこに表示されているのも同じく、ただ少女をある場所に連れていくという単純なもののみ。
「――つれていってくれませんか?」
そして何者かも分からぬ少女は、純真な瞳でもって、ただショウキたちを見上げていた。
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