リアスの心象
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気に口を動かす。
その様子はどこか儚げであり、弱々しい。
幾ら悪魔の肉体を有しているとはいえ、一誠はまだ悪魔になって間もない。
神器を遣わずにウィスの過酷な修行を受け続けていては本当に死んでしまうかもしれない。
故にリアスは最悪の場合を想定し、ウィスへと諫言するのだ。
「それでは駄目なんですよ、リアス。」
だがそんな彼女の言葉をウィスはやんわりと否定する。
「駄目…?」
「まだ彼のレベルはようやく赤龍帝の籠手を使用するのに耐え得る肉体になった程度…」
何処か達観した様子でリアスを一瞥し、ウィスは一誠の現状を申告する。
「仮に、あの城を神滅具所有者の領域だとすれば、今の彼の素の力はこの程度…」
神滅具所有者の領域を大樹であるとするならば、今の一誠の神器無しでの力を目の前の成長半ばにて折れている木だとウィスは例える。
「もっともっと肉体のレベルを上げた上で赤龍帝の籠手を遣わなくては、強くなったと言ってもたかが知れています。更なる先の世界は見えませんからね?」
「多分彼も分かっているのでしょう。…赤龍帝の籠手を遣ってはいけないなんて私、一言も言っていませんからね?」
一誠にはもっともっと強くなってもらわなければならない。
赤龍帝の籠手の出力は一誠の素の身体能力に大きく左右される。
赤龍帝の籠手という神器は一誠の素の力を累乗し、強大な力を発揮するものだから。
そう、0に幾ら数字を掛けてもゼロ。
故に一誠にはこの修行にて一皮剥けてもらわなければならないのだ。
「…ねえ、ウィスは今回の私とライザーとの政略結婚についてどう思っているの?」
突如リアスは話の端を折り、物憂げな表情を浮かべながらウィスへと心の声を漏らす。
「…そうですね。リアスの行ないは貴族として間違っていると言っていいでしょう。」
裏切られたとばかりにリアスは表情を曇らせ、ウィスを見詰める。
ウィスの口から放たれたのは自身の望んだ答えではなく、どこまでも現実的な言葉。
それはリアスの貴族としての責務を責めるものであった。
「…まあ、それはあくまで悪魔社会の未来を考慮した上での責務ですが。」
そんなリアスの不安をウィスは即座に払拭する。
悪魔という種の存続を図るべく純潔同士の政略的結婚、成程確かに筋が通っている。
「悪魔社会という大のためにリアスという小を切り捨てる。それは実に合理的で正しい選択です。正しすぎるほどにね。
…ですが、だからといってリ
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