襲撃その後
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全に日常を取り戻していた。
「ずっと訊きたかったんだけどよ」
その日、達也は珍しく、レオと二人の昼食だった。
深紅や深雪を含む女性陣に、それぞれ用事があったからである。
「なんだ?」
「達也、深紅にはいつ告白するんだ?」
「……はっ?」
予想外の質問に、箸を止めて間抜けな声で聞き返す。
「いや、お前ら傍から見てるといつくっついてもおかしくないのに、なかなか先進まねえからな。他の奴らもやきもきして見てるぞ?」
「俺はそんなにわかりやすかったのか……」
若干ショックを受ける達也に、レオがニヤリと笑う。
「で、告白の予定は?」
「……まだない」
はっきりそういうと、レオは少々大袈裟に驚いてみせた。
「でも好きなんだろ?」
「それは否定しないな」
あえてレオの顔を見ず、おかずを口に運びながら応える達也に、レオは必死で笑いをこらえる。
基本澄ましているこの友人は、この手の話−−特に自分のこと−−になると非常に照れ屋だ。
「でもまぁ、あんまりうかうかしてると他の人に取られるぞ?」
「…………」
揶揄うような笑みを消し、真面目な顔でそう告げるレオに、達也も表情を硬くした。
「深紅は人気があるからな。近づきやすい、っていうのか? 一科二科に関わらず、狙われてるぞ」
「一応、知ってはいたがな」
深紅は好戦的な面もあるが、基本は穏やかで誰にでも優しい。
また深雪に劣らない美少女なのだから、人気があるのも当たり前だろう。
また厄介なことに彼女はかなり鈍感で、自分に向けられている好意を全く感じるとることができない。
−−−殺意には敏感なんだがな。
若干現実逃避気味にそんなことを思ってみる。
しかし鈍感については、達也も人のことを言えない。
「無理やり進めるようなことはしないけどよ、あんまり先延ばしにしないほうがいいぜ」
「あぁ、そうだな……」
レオの言葉に達也は割と真剣に考え込み、覚悟を決めた。
??????
「ねぇねぇ。深紅はさ、いつ達也くんに告白するの?」
「ふぇっ!?」
達也とレオが食堂にいる頃、深紅に深雪、エリカと美月、ほのかと雫は屋上にいた。
それぞれ用事があるというのは嘘で、この質問をするために深紅を屋上まで引っ張ってきたのである。
もちろん深紅は、そしてレオもそんなことは知らなかったのだが。
「私も気になります。お兄様と深紅は見ていてもどかしいです」
「上に同じ」
エリカの質問に便乗するように深雪が言い、雫もそれに短い言葉で同意する。
さらに隣では美月とほのかが激しく頷いていた。
「こ、告白する予定は今のところ無い、かな」
「エッ、無いの?」
「だって恥ずかしいし……わたしなんか全然だし」
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