「ご飯にしますか? お風呂にしますか? それとも……わ、た、し?」
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けてくれないのが不満らしい。会ったばかりは感情も何も感じられなかった少女だが、最近はよく見ると無表情の中にも感情が見え隠れしてきていた。
「ですが、この『一番いいの』があれば大丈夫です。つまり、バッチリです」
そうして誇らしげに両手斧を掲げる――というより、あまりにも重さでプレミアには掲げるしか出来ないわけだが。あいにくとプレミアのクエストを受けるプレイヤーがいなくなってしまった理由は、そんなものではなく……ただただ単純に、ランダムに指定された何もない場所に、自衛程度の戦闘力もないプレミアを連れていくという面倒さに反比例するかのような、1ユルドという報酬の低さであろう。
……という事実を、自慢の両手斧を嬉しそうに持つプレミアへ、どうやって告げてやればいいんだと、集まった三人のプレイヤーはすぐさま視線を交差する――お前が言ってやれ、と。とはいえそうした責任の押しつけあいに敗北するのは、このリズベット武具店ではいつだって誰か決まっている。
「……なぁプレミア」
「なんでしょうか?」
「その斧、どうやって使う気なんだ?」
「それはもちろん、ショウキのように、こうして、こう……」
その誰か――すなわちショウキも、どうやって告げてやるべきか考えながら、手探りで少女に話しかけてみれば。ひとまずずっとプルプルと腕を震わせながら持っている、両手斧について尋ねてみると、プレミアは見て驚けとばかりに振り回す――ことはもちろん出来ずに。とにかくパラメータ上は強いというだけで選んできたのだろう、持ってくることがやっとの武器で戦闘など不可能ということが、ようやくプレミアも悟ったようで。
「どうしましょうショウキ。重くて振れません」
そうして『一番いいの』が自分には扱えないと分かっていくことに比例するように、プレミアの表情も誇らしげなものから、考えてもいなかったことへと直面したかのように推移していなかった。ショウキ自身、よく表情から考えをどうしてか見抜かれることは多いが、自分も端から見るとこうなのか――と、少しばかり疑念の思いに囚われつつ。
「これでは、皆さんがわたしのクエストを受けてくれません……」
「……いくらでも連れてくよ」
「え?」
などと気にしている場合ではなく。とにかくプレミアからすれば、自分のクエストをやってもらいたいが為の行動であり、まずは持っていた両手斧を取り上げながら。
「プレミアのクエスト、暇な時なら俺が行くからさ」
「そうそう! っていうか武器ならあたしがいくらでも造ってあげるのに、水くさいじゃないの!」
「……ありがとうございます。ショウキ、リズ」
そうして申し訳ないが用済みになった両手斧を壁に立てかけている間に、リズがプレミアの肩の上に手を
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