「ご飯にしますか? お風呂にしますか? それとも……わ、た、し?」
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の軽装鎧であり、防御力や追加スキルなどはないに等しい。先の聖樹クエストでの人型カマキリ戦でも、とにかく被弾しないように立ち回っていたように。
「……いいんだよ、これはこれで。動きやすいんだから」
「本音ハ?」
「俺の防具より店を軌道に乗せる方が先、だそうよ」
「…………」
「図星かヨ」
最近に会ったばかりのはずの女性陣2名の息のあったコンビネーションが辛い――と、誰にも相談しようのない弱音を心中で呟きながら、ショウキは呆れたような二人の視線から目を逸らすと。外は商店街ということでいつも騒がしくはあるものの、どこか普段とは違った声が聞こえてきて。
「ん……?」
「ショウキ、どうしたの――って」
そう、それはどこか奇妙なものを遠巻きに見るような声色で。気になって店先から顔を出したショウキとリズが見たものは、思った通り確かに商店街の中心を歩く奇妙なものを、出来れば関わり合いになりたくないように逃げるプレイヤーの姿だった。
「……何やってんの、あの子」
その中心にいる奇妙なものが、自分たちの知り合いなどではなければ、ショウキたちも無視を決め込んでいたものの。その少女がこのリズベット武具店のバイトということであれば、それはもうどうしようもなく、驚愕するリズをよそにショウキは店の外へ文字通りに飛び出ると。
「……プレミア?」
「ただいま帰りました。ショウキ」
「ああ……お帰り」
そこにいたのは、プレミア――自らの背丈の倍ほどもある両手斧を、両手をプルプルと震わせながら持ち上げて歩く、どこか満足げな表情をしたプレミアの姿だった。その両手斧が明らかにプレミアでは持てない……というか今のショウキでも怪しいほどの筋力要求値を持ったものというのは、新たに取得した《鑑定》スキルを使わずとも分かるほどで、とにかく可及的速やかにそそくさとリズベット武具店の店内へと招き入れて。
「ン!?」
「えーっと……プレミア。それ、どうしたの?」
「はい。リズからいただいていたお給料を使って買いました。つまり、一番いいのを頼む、ということです」
店の奥にいたが故に事態の把握に遅れたアルゴの驚愕の声とともに、店内に両手斧を持ったプレミアが侵入する。ただし入口を通るのにも工夫が必要だったほどで、やっぱり新しい店だけあって小さいんだな――などと、現実逃避も兼ねた思考をさせられる。
「へ、へぇ……なんで買ってきたの?」
「実は、わたしのクエストを受けてくれる人がいなくなってしまいました。理由を考えてみたところ、わたしが戦えないのがいけないのではないかと」
苦々しげな無表情――というと意味が分からないが、とにかくプレミアはNPCとして唯一に設定されたクエストを、誰も受
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