「ご飯にしますか? お風呂にしますか? それとも……わ、た、し?」
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ことに心底ありがたく思いながら店内に入って入手してきた素材を倉庫に移していく。
「はいプレミア。お給料」
「ありがとうございます。では、ごきげんよう」
そうして大体の状況を把握したらしいリズが、まずは店番をしてくれていたプレミアへ『お給料』が入った袋を渡すと、どういった仕組みかは分からないがプレミアの手の中で消えていく。恐らくはクエストNPCにアイテムを渡した時と同様の処置がなされているのだろう、プレミアは満足げな表情を見せながら、何やら指折り数えてリズベット武具店を後にする。
もちろんずっと店番をしているわけではなく、というよりむしろ店番をしている時間の方が短く、プレミアは街角のどこかに消えていく。いつもならば、またどこかでプレミアのクエスト――プレミアをどこかに連れていく、1ユルドを報酬としたクエストにプレイヤーを誘っているそうだが。今日はどこか、何やら決意を秘めていた横顔だったような――とまでショウキが思ったところに、眼鏡をかけたリズの顔が眼前に浮かび上がった。
「んで、ショウキの方は……へぇ、情報の通りにいい素材じゃない」
「ドーモ。オレっちも、アイツに居場所を用意してくれる、優しい店主がいてくれて助かってるヨ」
「……別に、そんなんじゃないわよ。放っておけないだけ」
そういうのが優しいっていうんだと思うがナ――というアルゴの言葉に鼻を鳴らすのみで反応を留めながら、いきなり眼前にリズの顔があってフリーズしたショウキのことにも構うことはなく、リズは持ち帰られた素材の吟味を終えたらしく。すっかり自らのスペースだとばかりに、狭いリズベット武具店内の片隅に馴染んでいるアルゴへと向き直った。
「……ってことは、用件もプレミアの様子見?」
「アア。それと、何でリズがあのNPC……プレミアをバイトに雇ったのか、とか気になってナ」
「放っておけなかったから。本当にそれだけだよ」
そんなアルゴの問いはリズに向けられた問いかけだったけれど、ショウキは苦笑いしながらも代わりに答えていた。行き場も何もない少女に居場所を作ってやった理由など、リズにとっては『放っておけなかった』という理由以外にあるものかと。一瞬だけフードの奥に隠されたアルゴの鋭い目付きと視線が交錯するものの、そんな《鼠》の表情はすぐさま人を食ったような笑顔に変わる。
「変に問い詰めて悪かっタ。許してくれ、オネーサンの癖なんダ」
「そもそも、何であんたもまだプレミアのこと気にしてるのよ。あいにく特ダネじゃないみたいよ?」
「……あのナ。オレっちだって、その、情報にしか興味のないような冷血人間じゃないつもりでナ?」
そうして素直に謝ったアルゴだったが、リズからの問いかけに始めて言いにくそうに口ごもった。どうし
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