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SAO−銀ノ月−
「ご飯にしますか? お風呂にしますか? それとも……わ、た、し?」
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 先日、NPCの少女から連れられて発生した、この《竜人の聖樹》クエストに続きがあるという情報をもたらしてくれたのは、それこそ先日に知り合ったこの《鼠》だ。こんな片田舎な、しかも旧アインクラッドにはなかったクエストまで把握しているとは、やはり情報屋としての腕は確からしく。ついでにクエストの発生条件である『NPCと行動を共にしていること』という話まで聞いたが、至れり尽くせりの情報に少しばつが悪くなってしまう。

「オレっちに悪いとでも思ってるのカ?」

「…………」

「沈黙は肯定と同じダ。にひひ。リズに聞いた通りに、意外と分かりやすいヤツだナ」

 ……会って数日にも満たないような知り合いにすら、表情から考えていることが分かると言われ、ショウキは頭を抱えたくなる衝動を必死に抑えながら。かの浮遊城では、《鼠》と話すだけで持つ情報が奪われる、との噂だったが。こんな調子では、どうも顔を合わせているだけで丸裸にされそうだと、ショウキは観念してアルゴに向き合うと。

「だって悪いだろう。そっちの申し出にはろくに答えられなかったのに、こっちだけ世話になれば」

 そもそもアルゴとこうして顔を合わせるようになった理由は、あの黒髪のNPCの謎をユイに頼んで解いてほしいということで。それを足がかりに、この《ALO》でも情報屋としてのアルゴの名を轟かせる代わりに、リズベット武具店の宣伝もしてもらうという約束だった。

「クソ真面目は美徳を通り越して損だナ。今は約束とか関係なく、ただ情報屋として商売をしてるだけじゃないカ」

 にもかかわらず、あの黒髪少女のNPCについてアルゴに提供できたことは、何もない――正確には、あのNPCの少女には何もないということが分かったのだが。少なくともそれはアルゴの求めていた情報ではなく、理由はどうあれ、こちらは約束を果たせなかったということになる。

「それに、何もなかったって情報もれっきとした情報ダ。そうだロ?」

「それは……そうだが……」

「ほら、さっさと帰らなきゃ、ダ。転移! イグドラシル・シティ」

 ただしアルゴは気にしていないように、むしろショウキが気にしすぎだと言わんばかりに、ニヤニヤと余裕そうに笑っていて。そうして《マロメの村》から最も近い転移門に着くとともに、さっさとアルゴから転移の言葉が放たれ、閃光に包まれながらイグドラシル・シティへと転移を果たす。

「……それにナ。オネーサンには、まだあの子には何かあるって思ってるゾ」

「情報屋の勘か?」

「ま、そんなところダ」

 もはや見慣れた《イグドラシル・シティ》の商店街前。そんなアルゴの意味ありげな言葉を聞きながら、ショウキは竜人ギルバートから貰った鉱石の袋を抱え、ようやくリズベット武具店に帰宅する。そこ
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