七本目
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以上言うとド坪にはまってしまう。
「ともかく、そうした噂に過剰反応した部下達が噂の元を経つため、お前を殺してしまえといってきてな」
「間違った事を進言したとは、今でもおもっておりません」
「こんな連中ばかりでな。お前の技量を見せるのが一番手っ取り早いとおもったんだ」
「ならそう言えよ!」
身勝手な女だ…
「300メートルもの距離から性格に矢を放ってきた事にも感心させられたが、味方居らず、お前一人だけというあの状況で、戦意を喪わず、かといって自棄になでもなく、冷静に、確実に私を仕留めようとしていた事に驚かされた。
本当に気に入った」
エレンは勝ち誇る事なく、純粋な瞳で、そのルビーのような瞳で、俺を真っ直ぐ見ていた。
「一本目を打ち落としたとき、胸が激しく高鳴った。
二本目の時は、寸分違わぬ位置を狙ってきたお前の技量に感心を通り越して感動した。
もしも三本目があったら、どうなっていたかわからん。
距離も縮まっていたし、流石に打たれたかもしれないな」
だから、と彼女は続けた。
「お前を殺すのが惜しいと思った。
だから、このライトメリッツまで連れてきた。
戦場で悠長な話し合いをする趣味は無いのでな」
口元に微笑みを湛え、ながら彼女は言葉を紡いだ。
「私に仕えないか?」
は?
「人間達の伯爵位と同じ地位を与えよう。
それに応じた俸給も与えよう」
「本気か?」
あまりにも身勝手で、暴力的で…魅力的な提案だった。
「私お前が欲しい」
その言葉に、ドキリとしてしまった。
「本当に、この街は、お前は、俺を受け入れてくれるのか?」
「ああ、約束しよう」
それに対する俺の返答は、ただ一つ。
「だが断る」
あっけに取られる二人を前に、俺はその続きを口にする。
「このティグルヴルムド・ヴォルンが最も好きな事のひとつは、自分で強いと思ってるやつに、『NO』と断ってやる事だ…」
「何故私の手を拒む?」
「俺には、帰るべき場所があるからだ。
マサラタウン。おれが育ち…育ててもらった場所だ。
おれは、帰ると約束した」
「お前の気概は結構だが、先の事を考えて言っているのだろうな?
これからお前はここで虜囚としての生活を送ることになるのだぞ?」
「れ、例の条件が満たせないと決まった訳じゃない」
「ほう?昨日別の条件を提示しろと言ったのは交渉術の類いだったのか。
あの時のお前の顔は実に必死で同情心が湧くほど悲壮感溢れる物だったのだがなぁ。
恐れ入ったよ」
くっそぉ…この女優位にあるからって…
見かねたのかリムアリーシャが俺の耳元で囁いた。
「形だけでも頭を下げておいて、あとで隙を見て逃
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