第六十話
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―一階 玄関前―
「…………やるか。」
俺は腕捲くりしながら辺りを見渡した。俺達三班はここ玄関から各部屋をまず箒で一周したあと、雑巾でもう一周することになった。
本腰入れてやるのはその部屋を使うときまで後回し。取りあえず、最低限使えるようにしろとのこと(食堂は別)。
「…………あの、なんで提督は掃除をしようって言い出したんでしょうか……?」
俺の隣にいた阿武隈は、かなりそこに疑問を持ってるらしい。まだ若干目元が赤い。
「ほら、毎日使うところが汚かったらテンション下がるだろ?ほれ、箒。」
俺は立て掛けておいていた箒を瑞鳳、阿武隈、若葉に渡す。
「あ、ありがとうございます。それで、まずはこの玄関からですか?」
瑞鳳は箒を受け取りながら控えめに聞いてきた。
「らしいな。俺もさっき聞いたばかりだから詳しくは知らん。」
俺はあくまで自分は艦娘側であるということをアピールしてみようとする。
兎に角、仲良くならないことにはどうしようもない。
「ふん。」
そんなアピールを感じたのか、若葉はさっさと一人で掃除を始め出した。会議室での事といい、なかなか癖のある奴だ。
俺達もそれにならって掃除を始める。玄関の筈なのに蜘蛛の巣があちこちにできていた。こりゃあ時間掛かるぞ。
俺は率先してそう言った蜘蛛の巣やらを取り除いていった。女の子に触らすのは少し気が引ける。
「…………あの、あなた達って、呉って所から来たんですよね?」
すると、床を掃いていた阿武隈が話し掛けてきた。
よしよし、阿武隈は乗っかってくれそうだ。
「おう。『魔神木曾』とも知りあいだったぜ?」
艦娘界の超有名人、『魔神木曾』の名前を出す。アイツに憧れているやつも多いとの事。
「『魔神木曾』…………知らないです。そもそも、ここ以外に鎮守府があるなんて聞いたこと無かったから…………。」
ここにいるやつらは俺の想像を遥かに超えるほど何も知らなかった。
いや、流石にここの前の提督が意図して情報を流してなかったってのは薄々気付いてるさ。
でも、何だろ。これ以上がある気がしてならない。
拓海の話からすると、コイツらはもっと酷いことをされていたのだろうと思う。なんなら、死んだやつも居たのだろう。
こりゃ、暫くはホントに出撃どころじゃねぇかもなぁ。
俺はそこまで考えて、自分達の事を話すのは無理だという結論に至った。
「…………それで、あなたって男なんですよね?」
さっきからずっと敬語の瑞鳳と阿武隈。見た感じからして同い年位だと思うから、タメ語でも全然良いのに…………。
「
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