六本目
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素材も、造りも、てんでダメだ。
エレンを見ると、少し離れた場所で見惚れるような顔に子供のように純真無垢な笑みを浮かべてこちらをみていた。
どうやらエレンの仕業じゃないようだ。
リムアリーシャを見るが、こちらにも悪意を感じられない。
「確認したいんだが、これ全部当てなきゃいけないのか?」
「体調が悪いのならば、エレオノーラ様に申し上げて別の日に…」
「自分の弓じゃないから自信がないんだ。
当てるのは一本にしてくれ」
矢をつがえ、一本目を放つ。
しかし、途中で失速。
たぶん、200も飛んでない。
周りの男達から嘲笑が聞こえる。
どうやらコイツらの仕業らしい。
どさくさに紛れて打っちゃおうかなぁ…なんて考えたが、リムアリーシャの剣閃から逃れられる気がしないのでやめておく。
二本目。
風を切って放たれた矢は、今度は300ほど飛んだが、的から大きく外れた。
「真面目にやっているのですか?」
怒気をはらんだリムアリーシャの声。
「ちゃんとやってるさ」
さっきの男達が、大声で騒ぐ。
特に気にしていなかったのだが…
『戦姫様もなんでこんな奴を捕虜にしたんだ?』
せんき? <せんき>とはなんだ? エレンの事か?
三本目。
矢をつがえようとした刹那。
「エレン!伏せろ!」
森の中から、火炎弾が飛んできた。
エレンが俺の予想通りエアームドなら、炎は弱点だ。
技の名前は解らないが、それが炎タイプの技である事は、それこそ火を見るより明らかである。
世界が、遅くなる。
その火炎弾が、少しずつ少しずつエレンに近づいていく。
「アリファール」
その呟きと共に、莫大な風が吹き荒れた。
そして、火炎弾は風に掻き消され、消滅した。
なんだ…? 今のは?
技…か?
さっきエレンはなんと言った?
【アリファール】?
そんな技は、存在しない。
日本語でも英語でもない。
「あの族を捕らえよ!」
リムアリーシャの掛け声で、修練場に居た者が思い思いの武器を取り、技を放つ。
俺には関係ないな…
『いい腕をしているな』
エレンの言葉が、脳裏を過る。
「奴は生かして捕らえるのか?」
「そんな贅沢が言える状況ですか!?」
「OK、足にする」
森の奥に、走る何者かが見える。
恐らくは、人化ポケモン…
弓のコンディションは、掴んだ。
あとは、そう。
弓の癖に、合わせるだけ。
弓弦が振るえ、矢が風を切る。
森の奥で、何者かの悲鳴が聞こえた。
「で、でたらめだ…あんな粗末な弓で…」
と俺に弓を渡
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