六本目
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その名前、日本人ではないな」
「俺は捨て子でな。俺と一緒にあった紙にそう書かれていたらしい。
呼びにくければティグルでいい」
「それなら私の事はエレンでいいぞ」
「エレオノーラ様」
とリムアリーシャが諫める。
「コイツは私の捕虜だ。これくらいはいいだろう?」
まただ…
「エレン。その捕虜ってのは何だ?」
「ん?我々と人間の間にある古き盟約だよ。
我々の土地に踏み行った者の殺傷与奪権は我々に、外に出て人間に捕まった者の殺傷与奪権は人間に、という訳だ」
ほーん…成る程…ポケモンの国との盟約ね…
「では盟約に乗っ取って…
貴様の身柄と引き換えに、我々は昨日森に火を放った者達の身柄を要求したい」
つまり、ロケット団の身柄って事か…
「はっきり言って、不可能だ」
「ほう?」
「奴らはロケット団。珍しいポケモンや強いポケモンを求めて暗躍する組織で、その構成員は万に昇る可能性もある。
その中から昨日の奴らを探す気か?
そもそもロケット団自体の足取りを、人間側の政府が掴めていない。
他の条件を提示しろ」
「だめだ」
ちっ…
「お前にはしばらくこの街で暮らしてもらう。
言うまでもないが、脱走を試みれば死刑だ」
くそっ…どうすればいい…?
はっきり言って政府は動かない。
今回の要求が通るなら、既にロケット団は壊滅している。
いや、それ以前に、政府とそれに連なるポケモン協会日本支部はロケット団と通じている可能性すらある。
そうでなくてもサカキの存在がある。
奴が中枢にいる限り、ロケット団の捜査は正しく進まない…
俺は…マサラタウンに帰らなきゃいけないんだ。
ティッタに、帰ると約束したんだ。
「それで、俺をこんな所に呼んだ理由はそれだけか?」
おれは、内心の不安を見せぬよう。
有らん限りふてぶてしく、問いかけた。
「もちろん、これだけではないぞ。
お前に是非ともやってほしい事がある」
そう言って、エレンは遠くの的を指差した。
「ここから矢を射て、あれに命中させてくれ」
その距離ざっと300メートル。
「なんだ、そんな事か」
まったくどんな無茶振りをされるかと思えば…
いや、まぁ、普通の人からしたら無茶振りなんだけどね。
あれ?俺って普通じゃない?
もしかして気付かない内にスーパーマサラ人に…!?
そう思っていると、近くにいた男が弓と四本の矢を差し出した。
かなりイケメンだ。
擬人化ポケモンは総じて容姿端麗だ。
きっとこの街の顔面偏差値の平均はかなり高いだろう。
で、受け取った弓矢だが…
「ひどい弓だな…」
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