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真田十勇士
巻ノ百三十一 国崩しの攻めその九
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「奥御殿の庭にでもな」
「そうなれば茶々様はいよいよ生きた心地がしなくなり」
「講和じゃ」
「そうなりますな」
「さて、講和の時はわしは鳴かせてみせよでいく」
 真剣な顔になっての言葉だった。
「わしはよく鳴くまで待とうだと言われるがな」
「この度はですな」
「豊臣家には無理にでも大坂から出てもらいな」
「幕府が入る」
「そうする、何としてもな」
「それでは」
「奥御殿に届けよ」
 こう命じた。
「弾をな」
「一発でもですな」
「それが決め手となる」
 そのたった一発の弾がというのだ。
「ここまで散々撃ってきた、そこにじゃ」
「その一発が届けば」
「もう決まりじゃ、だからじゃ」
「奥御殿に届く様に」
「撃つのじゃ」
 そうせよと命じてだった、家康は実際に大砲をそう動かさせだした。有楽はその状況を天守閣から見ていた。そのうえで傍にいる長頼に言った。
「これは奥御殿を狙ってじゃ」
「撃ってきますな」
「うむ、しかも今風が強い」
 このことからも言う有楽だった。
「その風に乗せて撃てばな」
「奥御殿にもですな」
「届く、運がよければじゃが」
「若し届けば」
「一発でもな、それで茶々様は余計に怯えられてな
「遂にですな」
「講和となるわ」
 長頼に笑みを浮かべて話した。
「必ずな」
「では」
「うむ、これで大坂の運命は決まる」
「幕府は大坂城を乗っ取れる様にして大坂城に入る」
「そして豊臣家は大坂を出る」
「そうなるわ、もう豊臣の天下は終わっておる」
 有楽もこのことははっきりわかっていた、この家はもう天下人の家ではなくなっているということである。
「ならな」
「それならばですな」
「もう幕府がくれた場所で大名として暮らすべきじゃ」
「それが豊臣家の為ですな」
「大御所様もそうお考えじゃ」
「だから余計にですな」
「もう意地を張るのを止めてじゃ」
 そのうえでというのだ。
「大坂を出てな」
「一大名として生きるべきですな」
「官位も高く大御所様の孫の夫じゃ」
 そして将軍である秀忠の娘婿でもある。
「それならばじゃ」
「もう大名としてですな」
「別格の扱いで生きさせてもらえる」
「では文句もなくですな」
「生きていればよいのじゃ」
「それ故に」
「大坂に出ればよい、わしにとっても茶々殿は姪」
 長頼にとっても従妹である。
「幕府とはつながっておってもな」
「それでもですな」
「わしなりにその行く末を考えておるわ」
「それ故にですな」
「茶々様も右大臣様もな」
「幕府の下で生きられるべきですな」
「全く、大御所様の申し出を受けられてじゃ」
 茶々、彼女がだ。
「そのうえでじゃ」
「大御所様の正室となられていれば」
「こうした
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