暁 〜小説投稿サイト〜
FAIRY TAIL ―Memory Jewel―
第2章 鬼神の目にも涙編
Story 16 鬼化の呪い
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死に言葉を紡ぐウェンディの涙でぬれた頬に思わず手を伸ばしかけた瞬間だった。

「イブキさんがギルドを抜けるなら……私は、()()()()()()()()。」
「は……?」

その言葉の意味を、すぐに理解することが出来なかった。
()()()()―――――それが空を飛んでいるこの状態を表していることに気づくと、イブキはウェンディを抱く右腕の力を強めた。

「お前…何言ってやがる!ここが、どんだけ高いのか知って言ってんのかよっ!?」
「私は本気ですっ!」
「ッ!?」

思わずイブキは空中で止まってしまった。
頬が涙で濡れたウェンディは両手に空気の渦を纏っている。
眼下に広がるのはマグノリアとオニバスを繋ぐ杉の木の森だ。目測だが、地上から二人は50〜70m付近にいる。その高さから落ちれば、いくら魔導士とはいえ怪我では済まないだろう。……いや、むしろ怪我で済むはずがないのだ。

「イブキさんが「ギルドに帰る」と言ってくれれば、この手を下ろします。もし言わないなら、私はイブキさんを攻撃して、ここから落ちます。」

目が、本気だ。

「………。」

冷や汗が流れ落ち、目を閉じ、ゴクリと生唾を呑み込むと、

「―――――ゴメン。」
「わっ。」

ウェンディの顔の前で手をかざすと、ポワッ、と泡のような魔法が放たれる。

「あ。」

その泡を顔に浴びたウェンディは意識を手放す。
眠ってしまったウェンディの細くて小さな体を抱き締め直す。

「昔、ミラに教わった眠り魔法だ。ぜってェに使うことはないって思ってたんだけどな……。まさか、こんな形で使う時がくるなんて……思ってもみなかったぜ。」

腕の中で眠るウェンディの顔にかかった長い藍色の髪を除けながら、イブキはもう一度小さく小さく呟いた。





「―――――ゴメン。―――――ありがとう。」





妖精の尻尾(フェアリーテイル) 医務室―

ウェンディが目を覚まし視界に最初に映り込んだのは、心配そうにこちらを見つめるシャルルとルーシィ、ミラの顔だった。

「ウェンディ!」
「よかった!気が付いた!」

シャルルとルーシィは心底嬉しそうに声を上げて喜ぶ。

「具合はどう?どこか、調子悪い?」
「いえ……大丈夫、です。」

問いかけるミラにウェンディは首を振って答える。

「あたし、ウェンディが起きたって皆に伝えて来るね!」

そう言うとルーシィは医務室を飛び出して行った。

「……それで?ウェンディ、いったい何があったのよ?」
「え?」

ベットの傍に置かれた丸椅子に座って腕を組むシャルルの言葉にウェンディは首を傾げ
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