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FAIRY TAIL ―Memory Jewel―
第2章 鬼神の目にも涙編
Story 16 鬼化の呪い
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、イブキの左肩には矢が刺さった後の傷口から血が流れ出ており、右目の瞼が腫れ上がっていた。痛みで顔も若干引き攣っている。

「すみません、イブキさん……。」
「何でお前が謝るんだよ?」

何も出来なかった自分を悔やみ、ウェンディは唇を噛み締める。そして肩の傷口に手をかざし治癒魔法をかける。

「……ありがとな。」

イブキは嬉しそうに、安心したように、牙が覗く口元に弧を描いた。

「あの、イブキさんにかけられているその鬼化(おにか)の呪い……何とかして解くことは出来ないんですか?」
「無理だ。9年も経ってんだ、遅すぎる。たとえ解く方法があったとしても、ずっと言ってるように……もう時間がねェ。」
「そう…です、か……。」
「ウェンディの治癒魔法で、何とかなんねェのか?」
「あ、えっと…それは……。」
「ハハッ、悪ィ悪ィ。軽い冗談だ。……忘れろ。」
「………。」

夕日に照らされた“鬼”の悲しげな横顔を見つめる。

「せめて、鬼眼(きがん)じゃなければ…何か違ったはずなんだけどな……!」

空いている左手で赤い左目―――鬼眼(きがん)を鷲掴みにするように覆いながら、イブキは今にも泣きだしそうな声で言う。ウェンディにはどうすることも出来なかった。



「さァーって…()()()()どーっすっかなぁ〜……。」
「え?」

しばらく沈黙が続き、もうすぐマグノリアに差し掛かろうとしたところでふいに口にしたイブキの言葉に、ウェンディは思わず治癒の手を止めてしまった。

「どういう、意味ですか……?」

その言葉の意味を尋ねるウェンディの方を見ずに、イブキはその答えを静かに告げた。

「俺は―――――ギルドを……抜ける。」
「……え………?」
「いや……マグノリアを去る、っつった方がしっくりくるな。」

ズン…と頭に鈍い衝撃が走った。
イブキの言葉に、ウェンディは目を白黒させる。

「いつ完全に鬼と化するかもわかんねェ状況で、これ以上ギルドに籍を置いとく訳にはいかねェ。早いうちに去らねェと、お前等に危害を加えかねェからな。」
「そ…そん、な……。」

声が、手が、体が震える。涙が溢れ、視界が滲みだす。

「マスターには、ギルドの連中には……ウェンディから、伝えてくれ。」
「……どうして―――――!」

涙で濡れた目を、真っ赤になった顔を上げイブキを真っ直ぐ見つめる。そんなウェンディの表情にイブキは面食らう。

「どうしてイブキさんは!一人で抱えようとするんですかっ!?自分を責めるようなことばかりするんですかっ!?イブキさんは何も悪くないのに……誰も、誰も悪くないのに……どうして―――――!」
「ウェンディ……。」

イブキが、涙声で必
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