134 挑戦者
[1/3]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
藤木は練習を切り上げ、家に帰る事にした。帰ると、母親が出迎えた。
「お帰り、茂」
「うん、ただいま」
「今日も頑張ったみたいだね」
「うん、今日、片山さんに会ってきたんだ」
「片山さんと!?」
「うん、この前の校内テロで僕を心配しに来てくれたんだ」
「そうだったの・・・」
「母さん、僕、全国大会で応援してくれる皆の恩を演技で表してみるよ!」
「茂・・・。そうだね、その方がとてもいいね。母さんも応援しているよ」
「ありがとう、母さん・・・」
藤木は家に入った。
藤木は寝ながら全国大会の事を考えていた。
(大会には僕の他にも凄そうな子が沢山出てくるだろうな・・・。勝ち抜けるかな・・・?)
藤木は中部大会で姿を消した和島以外にもスケートの得意な者達が参加する事は見当はついていた。また、その大会は今までは男女別でやっていたが、今度からは男女どちらの大会も同じ日時と場所で行う。男女問わず交流の幅が広がると思うと、それは藤木にとって楽しみでもあった。
新潟県のとあるスケート場。ここでは中部大会で銅メダルを獲得した吉岡肇という少年が練習していた。彼は中部大会で金メダルを獲得した藤木の技術に驚き、次こそはリベンジを果たそうと考えて、藤木以上の最高だと思える演技・演出を模索していた。
(あの時の俺はトリプルルッツがシングルになったり、少しふらついちまったが、今度はノーミスでやってみせる!!)
吉岡の全国大会への臨む気持ちは並みの物ではなかった。
富山県のあるスケート場、そこでは中部大会で銀メダルを勝ち取った佐野武政が練習をしていた。お得意の高速シットスピンでスケート場の客達を驚愕させていた。彼は銀は優秀な方には見えるが、それでも金賞の藤木の演技の素晴らしさには全く負けていたと感じていた。藤木を越える、いや、全国大会の頂点に立つには藤木以上の演技・演出を見せなければというプレッシャーがあった。
(今度は誰よりも上に立つぞ!!)
佐野は必死になっていた。
大阪府のとあるスケート場。そこでは一人の少年がその場でジャンプやスピンをこなし、その場にいた人々を魅了していた。
瓜原かける。彼もまた藤木同様、片山から才能を認められた少年である。勿論、近畿大会においては金賞を獲得していた。前に瓜原が全国大会に向けて練習をしていた時の事である。瓜原は案の定、どのような構成にするか考えていた。そして休憩していると、一人の男から話しかけられた。
「君は小学生にしてはなかなかの技術を持っているな」
「あ、おおきに・・・。いえ、ありがとうございます」
瓜原は大阪弁で礼をしたが、慌てて直した。
「わい、アマの小学生のスケート大会で金を獲りました。せやから、今度は全国を目指そうとしとるわけです」
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ