私と共に歩む限り 我らの前に敵は無い
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此処はオカルト研究部の室内。
今この場は静寂と緊迫した空気が室内を支配していた。
リアスの婚約者であるライザーは既にこの場から立ち去っている。
グレモリー家のメイドであるグレイフィアも10日後に催されるレーティングゲームの開催をリアスに告げ、魔法陣の中へと消えていった。
望まない結婚を強いられている己の義妹であるリアスへと内心で心からの応援を残しながら。
ライザーとグレイフィアの両者が立ち去った後のオカルト研究部の室内は緊迫とした空気が張り詰める。
誰もが怒涛の急展開とも呼ぶべきリアスを取り巻く状況に理解が追い付いていなかった。
否、理解したくなかった。
ある者はライザーという上級悪魔の存在に恐怖し、ある者は普段とはかけ離れた様子であるリアスを心配していた。
そんな混沌とした雰囲気の中でもウィスが動じることはない。
当人であるウィスは右肘を机についている。
右手の甲を顎に沿え、その紅き瞳でこの場で起きていた事態の全容を終始一貫して見据えていた。
侮ることも、騒ぎ立てることも、驕ることも、恐れることも、動じることもない。
平時と変わらずにただその場に座し、紅茶を優雅に飲んでいた。
見ればウィスは朱乃が淹れた紅茶を静かに口へと運び、瞳を固く閉じている。
隣で座る朱乃も絶対にこの場を譲らないとばかりにウィスの隣に密着しながら座していた。
訂正、朱乃も全く動じていなかった。
ウィスの膝上には同じく変わらずちょこんと座っている小猫の姿も。
彼女はウィスから最後の一口であるデラックスストロベリーパフェによって餌付けられている。
「……さて、どこから話しましょうか。」
やがてウィスが口を開く。
口調は普段のウィスとは異なり、丁寧口調。
どうやらウィスは時たま口調が変化するようだ。
リアスを含めたこの場の全員が普段と乖離した様子のウィスに対して驚愕を隠せない。
それ程までに今のウィスが醸し出す雰囲気が普段とはかけ離れていたのだ。
昨夜ウィスの寝室を無断で侵入した時も静かに怒り、口調が変化していたことをリアスは思い返す。
リアスは昨夜の自分本位の行動を恥じ、猛省するしかなかった。
「今回の騒動は昨夜リアスが私の寝室に来訪してきたことが始まりでした。」
ウィスは宙から珍妙なデザインが施された杖を取り出し、オカルト研究部の部室の床へと軽く打ち鳴らした。
途端、杖の先端に取り付けられている球体が点滅しながら光り出す。
淡い光が杖から放たれ、ウィスの頭上へと放出される。
やがてその光は空中にて球状に形成され、宙にてホログラムの様な映像を映し出した。
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