暁 〜小説投稿サイト〜
ソロモンの少女
よるの夢こそまこと
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手の親指に、いつの間にか虹色に輝く指輪がはめられていた。
「GOORuuuッ!?」

 先ほどの怒気をはらんだ叫び声とはちがう。ヴィネの発した声に動揺の色が見える。

「ソロモンノ指輪!? コノヨウナ小娘ガ次ナル主ダトイウノカ、認メヌ。認メヌゾ!」
「運命ヲ受ケ入レヨ、ヴィネ。アノ指輪ガ認メテイルノダ。コレモ天ノ意志」
「認メヌ、認メヌ、認メヌ、認メヌ、認メヌッ!」
「なら実力で認めさせてあげる。一対一でカタをつけましょ」

 心に剣をイメージすると、閃光とともに細身の剣が現れる。それを手にとり切っ先をヴィネに向ける。

「オウ! ヨカロウ。フム、オアツラエムキニ我ガ造リシ舞台ガアル。アノ上ニテ一騎打チダ」

 自らが造り上げたライオンの形をした建造物。そのバルコニー部分を指差して馬から降り、香澄と向き合うヴィネ。

「わかったわ。ところでさっきも言ったけど、あんたが壊した祭り舞台で踊ってた人たちは、あの中で無事にいるんでしょうね?」
「ソンナコト知ラヌ。ドウセ今カラ入ルノダ、ヤツラノ安否ナラソコデ――」

 言い終わらないうちにヴィネの鼻っ柱に衝撃が走る。
こっそり懐にしのばせていた細長い一合徳利を全力で投擲したのだ。

「無責任なこと言ってんじゃないわよ、バカ!」
「ありゃりゃ、カスミちゃん。いつの間に!?」

 と、これは徳利の本来の持ち主である楊爺さん。
 この徳利による一撃。これはさっきの割りばしよりもはるかに痛い。

「★%☆Д……ッ」

 痛みに目を回すヴィネに駆けより、のど元に剣を突きつける香澄。

「勝負あったわね」
「グヌヌ…、悪魔ヲ欺クトハ、ナント卑劣ナ」
「御主ヨ、神聖ナ決闘ノ約定ヲ違エルノハ、イカガナモノカト…」
「なに言ってるの、決闘は戦うと決まった時からすでに始まっているものよ。油断したほうが悪いの」
「確カニ…、ワカッタ。負ケヲ認メ、オ主ニ従オウ」

 負けは負け。意外にアッサリと敗北を認め、香澄への従属を誓うヴィネ。
 その時、香澄の心にヴィネの〈真名〉が刻まれ。なにかえたいの知れない力のようなものが全身に満ちてくるのを感じた。

(力が……、みなぎってくる……。この感じ、悪くないわ。気持ちがいい)

 その後、ヴィネに祭り舞台をもとに戻させ(さいわい上で踊っていた人たちはガレキに潰されることなく中に無事でいた)祭りの仕切り直しとなったわけだが、狼藉者を見事にこらしめた香澄は住人たちから拍手喝采。たちまち場の主役に祭り上げられることになった。
 楊爺さんの口から香澄が大の酒好きと聞かされた人たちは、手に手に酒杯を持ち香澄にお礼をして酒を注ぐ。



 そんな香澄を遠くから見つめる少年の姿があった。
 青地に金の龍が刺繍された、長
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