天使のような子と──
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きたさないだろう。それにこの子達のことが心配だ。しっかりと沼津へ帰るのを見届けてやらないと。
「じゃあ、案内するよ。着いてきて!」
◆
「本当にここまででいいの? 良かったら東京駅まで送ってあげるよ?」
「いえ、大丈夫です! ここまで来れば後は帰れますので!」
「蒼矢さん、ことりさん、本当にありがとうございました!」
「いえいえ」
秋葉原駅にて。件の少女2人組──橙色の髪の子が千歌ちゃん、ベージュ色の髪の子が曜ちゃんというらしい──との別れが迫っていた。最初は俺のことを警戒していた2人だけど、道中、話をしていく内に仲良くなっていった。お互いのことを質問したりされたり。
『2人は付き合ってるんですか?』
──なんて質問もされたけど、慌てて否定した。いや、出来れば肯定したかったけど南さんに怒られそうだったし。ただ、それでも彼女の顔が不機嫌だったのは解せないが。
「じゃあ私達、そろそろ行きますね」
「おう、良かったらまた遊びに来なよ」
「はい、そのつもりです!」
「その時はまた会えるといいですね!」
「うんっ、そうだね!」
「それじゃあ、さようなら!」
律儀にお辞儀をした後、ひらひらと手を振る千歌ちゃんと曜ちゃん。それに振り返してあげた。
「──あの子達とは、またどこかで会える気がするな」
そう、ぽつんと呟いた南さん。その表情はどこか未来を見ているようだった。何の意味もなく、ただ適当に放った言葉なのか、確信があって放った言葉なのかは、俺には分からない。
だけど、千歌ちゃんと曜ちゃんにはまた会える。何となくだけど俺もそんな気がしてならなかった。
「いや、また会えるよ。絶対に」
「ふふ、そうだといいね」
気が付けば、2人の背中は見えなくなっていた。
◆
「わぁ……綺麗……」
「でしょ? お気に入りの場所なんだ」
太陽がもうじき沈む。夕日がよく見えるこの場所は、音ノ木坂を一望できる高台。そう、ここがデートの最後を飾るに相応しい場所である。
とても楽しかったデートも、これでお終い。まだ南さんと別れる訳ではないが、実質ここがデートの最後の場所である。
「神崎くん」
「ん? どした?」
「……今日のデート、とても楽しかったよ」
「……そっか、良かった。俺も楽しかった」
近くにあったベンチに腰を下ろす。南さんも隣に座った。
現在、俺と彼女以外に誰もいないこの高台。正真正銘、2人きりの状況だ。
右隣には、儚げな表情で夕日を見据える南さん。夕日に照らされた彼女の顔は、いつもより格段と美しく見えて。しばらく釘付
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