暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
マザーズ・ロザリオ編
第256話 この場所から始めよう
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追いつかないと言うのが本音だった。

「僕の方からも説明をしましょう。ユウキくん。ランくん」

 後ろで 2人のプローブを覗き込みながらそう言う倉橋。
 説明足らずだったかな? と苦笑いするリュウキを見て 倉橋はウインクをした。

「ふふ。十分過ぎると思います。隼人君は 出来る事をしただけ、と謙遜をするでしょう。でも、それが2人にとってどれ程大きい事か」

 倉橋の言葉を訊いて、再びリュウキは顔を赤くさせつつ頭を掻いた。

 軈て ユウキやランより早く明日奈や玲奈が理解する。

 
 玲奈がリュウキに。……隼人に抱き着いた。
 自分の事の様に身体全体で喜びを表現した。

 さっきまで、悲しい話を訊いていたから。

 この思い出の場所が、2人にとって帰るべき場所。自分達にとって言えば22層の家。それを失ってしまう話。明日奈は明るく振る舞いながら、《結婚》と言う道を示してはみたが、どうしても現実的ではなかった。

 とても大きな話だったから。子供の自分達が何を言っても変えられない現実だと思ってしまっていたから。




 そんな問題を……このひとは意図も容易く変えてしまったんだ。




 自分に できることを精一杯しているだけだと言っているけれど、それだけでどれだけの人達が救われている事だろうか。

 でも、そんな凄い彼でも。超人だって言ってもおかしくない彼だとしても。

「ふふ……。流石だねリュウキ君」

 決して特別な目で見たりはしない。普通に接する。普通にお礼を言って、普通に凄いと絶賛する。……何処までも普通に接する。
 親である綺堂が願った通りにする。全てを照らす光と言って良い彼に。強過ぎる光にちゃんと向き合う。竜崎隼人と言う1人の人間にしっかりと。
 そして何よりもおんぶに抱っこではなく、彼と一緒に自分達が出来る事を全力でする。ただただそれだけだった。対等でいられるように。ずっと、友達で、そして 明日奈や玲奈にとっては家族でいられるように。

「(ふふ。あ、でもキリト君さ。ずーっと言い続けてるけど、とっても、とーーっても大変だよ? リュウキ君に追いつくのはさ? 頑張ってね? 私も頑張るから)」

 背中を追いかけているキリト……和人の事を明日奈は想っていた。
 そして 明日奈は和人の事、玲奈は隼人の事、其々想い馳せていた間に とうとう 話の内容を全て理解したユウキが号泣した。


『う、う、う……うわぁぁぁんっっっ!! りゅ、りゅーき、どーしてっ!? どーして そこまで、そんなにボクたち……っ う、うあぁぁぁぁんっっ』


 明日奈の耳元での泣き声は、きーーんっ! と耳に響くのだが、それは明日奈にとってとても心地良くも聞こえた。混じりっ気なしの感謝を言
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