襲撃と戦闘
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真由美への満場の拍手をかき消して、突如講堂に轟音が鳴り響いた。
それを予測していた風紀委員が、一斉に動く。
投げ込まれた化学兵器やらはすぐにその効果を消され、防毒マスクをつけた闖入者はすぐに拘束された。
「俺は実技棟に向かいます」
「わたしも行きます」
「お兄様、私も参ります」
この場のパニックが速やかに収まって行くのをみて、達也たちは摩利に声をかけてから講堂を飛び出した。
三人が実技棟の方に着くと、四人の男がレオを取り囲んでいた。
その男たちの格好は、明らかに生徒でも職員でもなかった。
「こりゃなんの騒ぎだよ!」
レオは達也たちに気づくと大声で尋ねてきた。
しかし達也がそれに答える前に、深紅の右手がレオたちの方に向けられる。
「灼熱地獄」
一言、凛とした声でそう告げる。
それだけで、悲鳴をあげる暇もなく、四人の男が焼滅した。
高熱で、四人の男の足元が一瞬真っ赤になったのだけは目視出来た。
しかし中心にいるレオにはなんの影響もない。
この攻撃範囲のピンポイントさこそ、魔法が持つ一番の優位点だった。
「生徒でも職員でもないんだから手加減無用……よね?」
深紅が微笑を浮かべながら可愛らしく小首を傾ける。
「レオ、テロリストが侵入した」
一切の詳細を省き、達也が簡単に説明する。
「なるほどな」
レオもあっさりと納得する。
アレコレと質問できるような場合ではないとわかったからだ。
今わかるのは、排除すべきものがいるということだけ。
「レオ、ホウキ!……あ、援軍が到着してたか」
「おっ、サンキューな」
そこにエリカが走ってきた。
レオのCADと思われる黒い手袋と、例の警棒を持っている。
「あれ、ここにいた奴らは?」
「わたしが排除したわ」
「排除ってナニしたのよ」
排除の一言に収めた深紅に、エリカが怪訝そうに首をかしげる。
「灼熱地獄だよ。あの男たちがいるとこだけ、千五百度まで温度を上げたの」
いとも簡単そうにさらりと言う深紅に、エリカとレオの表情が揃って引きつった。
「それより、狙われてるのはおそらく実験棟か図書館よ」
しかし深紅の表情は至って真面目で、真剣だ。
「そうだな……どうするか」
達也も思わず考え込む。
選択肢は三つ。
このまま二手に分かれるか、どちらかにだけ向かうか。
「奴らの狙いは図書館よ」
いきなり、決断をもたらす情報が聞こえてきた。
「小野先生……?」
「あちらの人たちはすでに館内に入ってる。
壬生さんもそこにいるわ」
表情も厳しい遥の言葉を聞き、全員の戸惑ったような視線が達也に向けられる。
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