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英雄伝説〜西風の絶剣〜
第37話 事情聴取と勘違い
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間はかかるし何よりミラがかかるだろう」
「……正直、困り果てています」


 そうよね、急にあんなことが起きたんだもん。生活していくだけでも精一杯なのに立て直すなんて無理よね……


「そこでどうだろう。私に一つ提案があるのだが」
「……なんでしょう?」
「実が、王都グランセルにわがダルモア家の別邸があってね。たまに利用するだけで普段は空き家同然なんだがしばらくの間、子供たちとそこに暮らしてはどうだろう?」
「え……」
「勿論ミラを取るなどと無粋な事は言わない。再建の目処がつくまでいくらでも滞在してくれて構わない」
「で、ですがそこまでご迷惑をおかけするわけには……」
「どうせ使っていない家だ。気がとがめるのであれば……うん。屋敷の管理をしていただくというのはどうかな?」
「市長……」


 ダルモア市長ってば凄い人ね。無償で別宅を貸すだなんて心が広い人だと思うわ。


「……ちょっとおかしくない?」
「……フィルさん?」


 そこにフィルが話に入ってきた。


「君は確か最近孤児院に来たという……何がおかしいのかね?」
「いくら何でも話の都合がよすぎると思う。借りも作らないで無償で別宅を提供してあなたに何のメリットがあるの?」
「それは私が院長先生に昔からお世話になってるからで……」
「それなら無理にグランセルに行かなくても市長ならルーアンとかで生活できる場所を用意できるんじゃないの?」
「生憎今はルーアンに提供できる場所が無くてだね……」
「わたしにはテレサたちにここからいなくなってほしいようにも思えるけど?」
「君!いくら何でも無礼が過ぎるぞ!!」


 ギルバートさんは顔を真っ赤にしてフィルを睨むがフィルも負けずと睨み返す。ど、どうしよう……


「……フィルさん、ありがとうございます。私がこの地に想いがあるからそう言ってくださったんですね?」
「……」
「市長さん、申し訳ありませんが少し考えさせてもらってもよろしいでしょうか。何分いろんなことが急に起こってしまい未だ混乱していますので……」
「無理もない……ゆっくりお休みになるといい。今日の所はこれで失礼する」


 ダルモア市長はギルバートさんを連れて去っていった。


「は〜、驚いちゃった。フィルったらどうしたの?」
「ダルモア市長に初めて会った時もあまりいい顔をしていなかったしダルモア市長に何か思う事があるのかい?」
「……別に。ただ単にあのダルモアって人の言葉が嘘くさく感じるだけ」
「嘘くさい?」
「何にも感じないの。薄っぺらいまさに表面だけの言葉……私はそう感じる」
「そう?あたしは懐の広い人に見えたけど?」
「まあわたしがひねくれてるだけだと思うし気にしなくていいよ。それよりもテ
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