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英雄伝説〜西風の絶剣〜
第37話 事情聴取と勘違い
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市長。お忙しいところを態々訪ねてくださって恐縮です」
「いや、これも地方を統括する市長の務めというものだからね。それよりも今回の事件は本当に許し難いものだ。ジョセフの奴が愛していた建物があんな無残な姿にされるとは……心中、お察し申し上げる」
「いえ、子供たちが助かったのであればあの人も許してくれると思います。遺品が燃えてしまったのは唯一の心残りですけど……」


 ジョセフって人は誰かは分からないけどテレサ先生にとって大切な人だったっていうのは彼女の顔を見て理解できたわ。あたしは改めて今回の事件を起こした奴らに怒りを感じた。


「遊撃士諸君。犯人の目処はつきそうかね?」
「調査を始めたばかりですので確かな事は言えませんが、ひょっとしたら愉快犯の可能性があります」
「そうか……何とも嘆かわしい事だな」
「市長、失礼ですが……」
「ん、なんだね?」


 秘書のギルバートさんが何か思いついたように話し出した。


「今回の事件、もしかすると彼らの仕業ではないでしょうか?」
「……」
「ま、待って!?彼らって誰の事?」


 あたしはギルバートさんが犯人の目処に心当たりがあるのか聞いてみた。


「君たちも昨日絡まれただろう?ルーアンの倉庫区画にたむろしてるチンピラどもさ」
「あいつらが……?」


 あたしは昨日絡んできたあの3人組を思い出した。確かにガラは悪かったけどあたしはこんなことをするような連中には見えなかったわ。何ていうかチンピラっぽい小物臭が凄かったし。


「失礼ですがどうして彼らだと思うんですか?」
「昨日もそうだったが、奴らは市長にたてついて面倒ごとばかり起こしているんだ。市長に迷惑をかけることを楽しんでいるフシすらある。だから市長が懇意にしてるこちらの院長先生に……」
「ギルバート君!!」
「は、はい!」
「憶測で滅多なことを口にするのは止めたまえ。これは重大な犯罪だ、えん罪は許されるものではない」
「ん。わたしも少し軽率だと思うよ」


 流石に憶測だけで犯人扱いするのは不味いし不謹慎でもある、ダルモア市長もそう思ったのかギルバートさんを叱ったしフィルもジト目でギルバートさんを睨んでいた。


「も、申し訳ございません。考えが足りませんでした……」
「余計なことを言わずともこちらの遊撃士諸君が犯人を見つけてくれるだろう。なあ君たち?」
「うん、任せて!」
「全力を尽くさせてもらいます」


 あたしとヨシュアはダルモア市長の期待に応えるように強く答えた。


「うむ、頼もしい返事だ。所でテレサ院長、一つ伺いたいことがあるのだが……」
「なんでしょうか?」
「孤児院がああなってしまってこれからどうするおつもりかな?再建するにしても時
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