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とある3年4組の卑怯者
133 心境
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ならない。そして今日は自分にスケートの大会で世界一を目指す事を勧めた者の一人、片山と会う約束をしていた。藤木がスケート場に到着すると、片山は既に来ていた。
「こんにちは、片山さん」
「やあ、藤木君。それでは早速滑ろうか」
「はい・・・」
 藤木は片山とリンクを滑走した。片山も軽快に滑っていく。流石元オリンピック選手だなと藤木は驚いた。藤木も軽快にステップをしていく。そしてステップシークエンスを披露し、そしてトリプルルッツを決めた。
「相変わらず調子いいじゃないか。全国大会が楽しみだな・・・」
「ありがとうございます・・・。しかし、次は音楽に合わせた演出が必要なんですよね。上手くできるかな・・・」
「何、君がその音楽に一番似合うと思う演技を考えればいいんだよ。頑張ってみたまえ」
「は、はい、ありがとうございます・・・」
 片山は藤木の反応が気になった。
「それにしても、あのテロの事が相当怖かったのかね?何か元気なさそうだな」
「ああ、はい、僕の友達が僕を庇って入院してしまって、それで申し訳ないなと思って・・・」
「そうか、それは辛かったな・・・」
「それで僕の大切な人が傷つけられていって自分は平気でスケートやってて本当にいいのかなと自分を疑ってしまうんです・・・」
「そうか・・・。その友達は君のスケートを快く思っていないのかね?」
「いいえ・・・。応援してくれています。やめたらもっと悲しいと・・・」
「そうか、なら、限界まで挑戦してみたまえ。その友達も君のスケートで喜び、誉めてくれるだろう」
「はい・・・」
 藤木は滑走を再開した。スピンも、ジャンプも、いろいろやりこなした。そして藤木は片山と会った事で自分のスケートを応援している者の為にも出場する義務があるのだと思い知った。自分のスケート姿に惚れたみどりもそうだし、自分が好きなリリィや笹山も不幸の手紙事件が解決してからも応援してくれている。そうだ、その為に笹山は重傷を負いながらも堀内を必死で抑えようとしたのだった。堀も彼女の学校でいじめを受けた時、自分と同じスケートが得意な子がいると自分に伝え、会ったら宜しくと言われ、彼女もまた自分を応援している。なら出るしかない。
(よし、音楽に合わせ、そして僕を応援してくれる皆の気持ちを演技で示すぞ!!)
 藤木は決心した。
「藤木君、頑張るんだぞ!私は君を信じている。それじゃ、私はこれで失礼しよう・・・。またな」
 片山はそう言ってスケートリンクを後にした。
(よし、頑張るぞ!)
 藤木は練習を続けるのだった。そして応援する皆への謝意と音楽に似合う演技をどう表現するのか練り続けるのであった。

 片山は電車に乗っていた。
(藤木茂・・・。彼の演技次第では世界への切符を掴み取る事は確実だろう・・・。そして、彼と同様、世
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