暁 〜小説投稿サイト〜
とある3年4組の卑怯者
133 心境
[1/3]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
 入江小で発生した校内テロはニュースとなって新聞やテレビでも報じられた。フィギュアスケートの元オリンピック選手の片山次男にもその情報は届いていた。
(入江小?藤木が通っている学校じゃないか!)
 片山は藤木の安否が心配になった。

 笹山は身体中の怪我の影響で全身を上手く動かせなかった。トイレに行くのも、食事をするのも一苦労だった。
 笹山はベッドで横になっていた。その時、誰かがノックをした。
「どうぞ」
 入ってきたのは城ヶ崎だった。
「笹山さん、大丈夫?ごめんね、ピアノのお稽古があってお見舞に来れなくて」
「大丈夫よ。藤木君達が来てくれたから」
「藤木ね・・・。そう言えばあの時凄く笹山さんを心配してたわね。助けに行こうとしてたけどリリィさんに止められてたわ」
「え?藤木君、そこまで私の事を・・・。そうよね、お見舞に来た時、私に凄く謝ってたの。西村君達に助けに行かせた事をね。それで大会辞めるとまで言ってたわ」
「えっ!?」
「でも私、辞めないでって言ったわ。私は藤木君に怪我して欲しくなかったから堀内を止めようとしたからね。藤木君にはスケートでもっと頑張って欲しいから・・・」
「そう、笹山さん、もしかして藤木の事好きなんじゃ・・・?」
「え?あ、いや、それは答えられないわ・・・」
 笹山は城ヶ崎に勘繰られて動揺した。しかし、それだけ藤木のスケートを応援しているという事は本心ではやはり藤木を・・・。笹山は自分自身に問いかけた。

 夕方あたりに藤木の家に電話がかかって来た。まだ両親は帰ってきていないので藤木は自分で電話に出た。
「もしもし」
『やあ、藤木君、片山だよ』
「片山さん!?」
『ああ、この前君の学校でテロがあったと聞いたんだ。君は無事だったか心配になったものでね』
「僕は何とか大丈夫です」
『よかった、無事で。ここで怪我して大会を辞退する事になってしまったら切なすぎるからな。無事で私も一安心したよ』
「はい、心配してくれてありがとうございます・・・』
『そうだ、明日は土曜で授業も午前までだから一緒にスケートしに行かないかい?』
「え?はい、お願いします!」
『そうか、今の君を私も見てみたいからな。では』
 片山は電話を切った。

 笹山は城ヶ崎が帰った後、何故あの時自分は藤木の事を守ろうとしたのか顧みた。
 それは藤木が得意なスケートで彼に世界一を目指して欲しいから。
 その為に藤木に怪我をして欲しくなかったから。
 藤木は自分にとって大切な『友達』の一人だから。
 そして・・・。
 それらは笹山かず子が藤木に対する思いだった。


 翌日、藤木は学校から帰り、昼食を食べると、親に断ってスケート場に行った。全国大会までの日が迫って来ている為に練習をし、仕上げに入らなければ
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ