潰えたオアシス・『ユバ』
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ていたらしい。
アキトは直情的になりかけた自身を恥じ、猛省する。
前方ではビビがラクダの手綱を握っている。
ラクダは未だにアキトにビビりまくっているが
「よし、これで3人乗ったわね」
「それにしても私が手綱を握っていてもいいんですか、アキトさん?」
「まあ、たまには自分が背負われるのも悪くない」
ビビ、アキト、ナミの順でラクダに跨る。
アキトとナミは足を横に投げ出す形で腰を下ろしていた。
「それ行け、マツゲ!」
「ヴォッ!」
「あのナミさん、マツゲと言うのは……?」
「この子の名前よ?良いと思わない?」
「う、うん、素敵な名前だと思うわ」
マツゲは瞬く間にルフィ達の姿が彼方へと消えていく。
「ちょっと待て──っ!」
「俺達を置いていくな──っ!」
「おーい、ちょっと?」
取り残されたルフィ達はただ呆然とナミ達を見送ることしか出来なかった。
マツゲに背負われたビビ一行は一足早く『ユバ』へと向かうべく砂漠の道を突き進む。
ビビが手綱を握り、最後部に座るナミは後方のルフィ達を望遠鏡にて見据える。
2人に挟まれる形で座っているアキトは先程から一言も喋らない。
そんなアキトの様子を怪訝に思うナミとビビ
2人の視線に晒されながらもアキトは変わらず返事を返すことはない。
安否を問うべくアキトの肩を揺さぶるべきか逡巡するナミにアキトがもたれかかる。
「……アキト?」
見ればアキトはナミの肩を枕代わりに寝息を立てていた。
肩を静かに上下させ、アキトは深い眠りについていた。
余程疲労を抱えていたのかアキトは彼女達の声に反応することはない。
今なおアキトはナミに力なくしなだれかかっている。
「……今は寝かせておきましょうか」
「そうですね」
アキトはドラム王国でかなり無茶をしたと聞いている。
Dr.くれはから身体に外傷は無くとも、アキトの身体はボロボロの状態であることも伺っている。
加えて、砂漠に入って以降もアキトは能力を行使し続けていた。
疲労が蓄積していないわけがない。
アキトがドラム王国でどんな無茶をしたのか自分は知らない。
だが、アキトが自分の治療費代わりに戦ってくれたことは知っている。
ならば今自分はアキトが快眠を取ることができるように心掛けることをナミは決意した。
思えば先程のアキトもどこか普段のアキトらしくなかった。
想像以上にアキトは無理をしていたのだろう。
「……」
ナミは優し気な表情を浮かべながらアキトの前髪をかきあげ、無防備なアキトの寝顔を見詰める。
アキトがマツゲから滑り落ちることがないように軽く抱きとめることも忘れない。
ナミ
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