暁 〜小説投稿サイト〜
頑固爺
第四章

[8]前話 [2]次話
 英語での発信を続けるとだった、英語は世界中で喋られている言語なので。
「そうか、こうした人がいるのか」
「こうした主張があるのか」
「その通りだな」
「日本の皇室は素晴らしい」
「その歴史と伝統を護らなくてはならない」
「この教授の意見は正しい」
 全世界の、それこそ日本の隣のあくまで皇室を王室と言う国以外は賛成していた。ユーチューブ以外の動画サイトにも東尾が流した結果である。
「そうあるべきだ」
「明治、昭和両帝以来の伝統を護れ」
「日本の皇室は大戦前の方がいいのではないのか」
「閉じられた皇室であるべきだ」
「日本政府と宮内庁はおかしいな」
「現実だの開かれただの言い過ぎだ」
「そんなものを気にしていてどうするんだ」
 世界の多くの者達が思った、それでだった。
 彼等は日本政府と宮内庁への批判をはじめた、日本での東尾の賛同者達と共に。このことに日本政府と保守政党、宮内庁の者達はというと。
 折角東尾がイギリスに行って五月蠅いのがいなくなったと思えば何時の間にか世界中から批判が来る様になってだ。
 それでだ、彼が日本にいた時以上に困って言った。
「何でこうなるんだ」
「何で世界から批判される様になっているんだ」
「あの人はイギリスに行ったというのに」
「それで何で世界的な批判になっているんだ」
「皇室の在り方について」
「こんなに言われる様になっているんだ」
 つくづく困り果てての言葉だった。
「こんなことになるなんて」
「予想もしていなかったぞ」
「想定外もいいところだ」
「これでは皇室をどうするか」
「我々も意を決するしかないぞ」
「時代の風潮に合わせようとしても」
「それが出来る状況ではなくなった」
 世界的な批判を受けては元々外圧には弱いと言われている日本政府も石頭で知られている宮内庁もだった。
 決断をするしかなくなった、それでだった。
 皇室は戦前の在り方に戻った、日本のリベラル層の女性宮家だの女系天皇だのいう話は消え去ってしまった。
 このことに東尾から教えを受けている学生達は喜び彼を自分達のパーティーに招いてそのうえで言った。
「よかったですね」
「日本政府も決断しました」
「議会で法案が通過しました」
「勿論内閣も認めていますし」
「これでよしですね」
「皇室は正しい在り方になりましたね」
「いや、まだだ」
 学生達から祝いの言葉を受けてもだ、今も和服姿の東尾は厳めしい顔で言った。
「安心は出来ない」
「閣議決定をして議会も通過していますが」
「それでもですか」
「油断は出来ない」
「そうなのですか」
「若し少しでも油断するとだ」
 それはというと。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ