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頑固爺
第三章
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 東尾は実際にイギリスの大学に赴きそこで教鞭を執った、このことについて保守系の政治家や宮内庁の者達はほっと胸を撫で下ろした。
「やれやれだな」
「やっと困った人がいなくなった」
「いや、イギリスのあの大学も人を見る目があるな」
「そうだ、学者としては優秀だからな」
 その口煩さと頑固さはともかくとしてだ。
「人を教えるのも上手だし」
「英語は喋れなくてもどうでもいいな」
「日本語での講義だろうしな」
「そのままイギリスでいてくれ」
「そしてもう二度と日本で五月蠅く言わないでくれ」
「現実の政治はそうはいかないんだ」
「明治、昭和両帝の頃とはまた違うんだ」
 こうしたことを話してだ、東尾が日本を去ったことに心から胸を撫で下ろした。そして実際に彼はイギリスにいたが。
 その講義を受け彼を知ったイギリスの青年達は感激して口々に言った。
「素晴らしい」
「素晴らしい人だな、プロフェッサー東尾は」
「日本のことを心から考えている」
「とりわけ皇室のことを」
「日本の皇室のことを教えてもらったが素晴らしい」
「何という素晴らしい家なのだ」
 彼等は日本の皇室に深い敬意さえ備えだしていた。
「二千六百年以上の歴史を持ち」
「百数十代も續いているのだ」
「ローマ法皇以上の存在だぞ」
「しかも皇帝だ」 
 イギリスは王であるから余計にこう思うのだった。
「ローマ皇帝とローマ法皇を合わせた様な存在だ」
「その様な存在が実際にあるのが凄い」
「しかも明治、昭和両帝の話を聞くと」
「何という偉大な君主達だ」
「質素で徳も備えていて」
「理想の君主だな」
「その伝統を讃え護ろうというプロフェッサー東尾」
 また彼の話もした。
「実に素晴らしい方だ」 
「厳しいが公平で質素だ」
「その人格もいいぞ」
「まさに日本男児だ」
「あの人の言葉を聞かなくてはならない」
 こう口々に言ってそしてだった。
 まずは彼が講義を行っているイギリスの名門大学の青年達から東尾の話が広まりそうしてであった。
 イギリスの青年達は東尾の学問と言葉に感激しその皇室論をよしとしてだった。彼の主張を広めていった。それは彼も望むところだった。
 それでだ、東尾は学生達に対して言った。
「わしも望むところだ」
「それでは」
「インターネットでもですね」
「先生は既にユーチューブでも発言されていますが」
「これからもですね」
「うむ、これまで日本語で主張していたが」
 イギリスにいるうちに英語も喋られる様になっていた、元々学者として海外の文献も読む機会があり英語も読めたので喋られる様になるのもすぐだった。
「しかしな」
「これからはですね」
「英語でもですね」
「ネットで発言されますね」
「そうしていかれますね」
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