第二章
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「その伝統を常に忘れず」
「皇室もですね」
「そして皇室をお護りする我等もですね」
「その伝統を常に意識し」
「奉職すべきですね」
「そうです、何としても」
まさにと言う東尾だった、今日の訪問も事前に政府の顧問今の与党である保守政党の中にいる彼の支持者達の推薦でそうなった立場から来ていて事前に連絡を確認を取って来ているのだから宮内庁としても断れなかった。
「そこを護らねばなりません」
「だからですか」
「明治、昭和両帝の時の様にですね」
「皇室はあるべきですね」
「あの時の様に」
「お二方がおられてこそではないですか」
両帝を深く敬愛する東尾は心から言った。
「今の皇室がありますな」
「その通りですね」
宮内庁も誰もがこう答えた、少しでも反論をするとそこから圧倒的な学識と教養から延々と説教を受けるからだ。東尾の学識と教養日本そのものとりわけ皇室へのそれは現代日本随一と言われている。
「それは」
「ではです」
「女性宮家も女系天皇もですね」
「却下であり」
「そして皇室典範もですね」
「戦前の様にあるべきなのですね」
「そうです、私は常に苦言を呈します」
実際にそうしている、今現在も。
「ですからここはです」
「何としてもですか」
「宮内庁としてはですね」
「戦前の様にあるべきであり」
「皇室もまた」
「そうです、今上陛下におかれては」
今度はその皇室の方々の中でも言わずと知れたこの方のことも話すのだった。
「非常に聡明で君主としての徳がおありの方です、その徳もです」
「護りそうして」
「後世に伝えていく」
「そうすべきですね」
「そのこともですね」
「今上陛下の徳も」
「そうです、そしてその在り方は」
ここから延々と話す東尾だった、その主張は宮内庁の者達にとっても困ったものだった。それで正直政府も宮内庁も東尾の主張にはどうしたものかと思っていたが。
その彼にある話が舞い込んだ、その話はというと。
「イギリスの方の大学にな」
「招かれているのですか」
「そうだ」
東尾は自身の家で妻に答えた、和風の質素な家でそこに贅沢なものは何一つとしてなかった。
「日本のことを教えて欲しいとな」
「そうしたお話が来たのですか」
「そうだ、それでわしが思うことは」
「断られますか?」
「いや、異国に日本のことを伝えることもだ」
それもとだ、東尾は妻に答えた。
「よきこと、ではな」
「それではですね」
「受けるつもりだ」
「ではイギリスに行かれますか」
「うむ、それで留守はな」
「お任せ下さい」
妻は夫に微笑んで答えた。
「家は私が護っていきます」
「頼むぞ、男が外で働けるのはな」
「妻がしっかりしてこそですね」
「だからな」
それ故
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