第一章
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頑固爺
某大学の教授である東尾章一は保守系の論客達の中でもとりわけ教養がありその主張が断固たるもので知られている。その主張は歴史は保守で経済は自由貿易文学についても何と文語を重視するというものだった。
皇室についても明治、昭和両帝を理想としておりその在り方について雑誌や大学での講義だけでなく普及早々その有効性を見出し力を入れているネットでも盛んに発言していた。
その主張は一定の支持者は得ていた、だが。
政治家や宮内庁の者達は彼の意見にいつも難しい顔をしていた。
「そうは言ってもな」
「今は時代が違うんだ」
「明治、昭和両帝の時代じゃないぞ」
「皇室の在り方も変わるんだ」
「他のことでもそうだ」
「伝統は大事にしていくべきにしても」
「時代の流れにも合わせていくべきだ」
何時までも古い時代のままではいられないというのだ。
「だからな」
「東尾先生の言うことはな」
「頷けるにしても」
「そのままは出来ないぞ」
「あの先生は我々にも言うが」
それもよく名指しでだ、総理大臣にもずけずけと言う。
「それでもな」
「出来ることと出来ないことがある」
「特に皇室のことはな」
「難しい問題だ」
「世界の王室の流れもある」
日本は皇室であるが他の国のそうした家の状況も見てそうして考えていかねばならないというのだ。
「伝統を守るにしても」
「世界の流れもある」
「あの人がそれを見ないからな」
「あくまで明治、昭和両帝だ」
「お二方を理想とするのはいいが」
「理想にし過ぎではないのか」
「昭和帝のご生前はかなり絶賛されていたし」
まさに理想の君主、天皇陛下としてのあるべき姿であるとしてだ。東尾は昭和帝を讃えていたのだ。そしてそれは今もだ。
「明治帝もだしな」
「近代皇室を定められた方と言っていてな」
「確かにその通りだが」
「しかし伝統にこだわり過ぎる」
「今の時代も頭に入れてもらわないと」
「それが政治だ」
「妥協だと言われるかも知れないが」
彼等にも彼等の考えがありそこから述べるのだった。
「しかしだ」
「それでもな」
「あの人の言うことは頑固過ぎる」
「そしてそれを引っ込めない」
「あくまで主張し続ける」
「困った人だ」
「全く以てな」
政治家、特に保守政党の保守派の議員達が思っていた。彼等は東尾と同じ考えにいる筈だがリベラルに傾いている、本当の皇室の在り方がわかっていないとよく批判されている。それでリベラル派よりも彼等の方が困っていたのだ。
それは宮内庁の者達も同じで今日は何と宮内庁に直接乗り込んできた東尾に怒られていた、色々となっていないとだ。
「いいですかな、日本の皇室の歴史は」
「二千六百七十七年」
「その伝統が
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