暁 〜小説投稿サイト〜
名探偵と料理人
第五十二話 -日常回-
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「今年の2月に車にひかれかけたおじさんを助けたことがありましてね。今思えばひかれかけたおじさんの横にいたのは高木刑事だったような……」

 

信号待ちで待っていた反対側に居た二人組のうち、片方が一歩車道に出た瞬間に車がそこに突っ込んできたので思わずその人を引っ掴んで退避させたんだった。そらもう、明らかにありえない速度(一般人目線)で。

すぐにフードとマスクをつけてその場を後に(というか、逃げた)からその後はどうなったかは知らないが、その片割れが最近遭遇した原作キャラの高木刑事だった気がする。

 

「高木刑事?」

「ええ。最近、新ちゃんにくっついて行って遭遇した事件現場の捜査に来て知り合った刑事さんですよ」

「へえ。あの子、活躍しているんだね」

「表向きには小五郎さんの手柄になってますけどね…走っているだけでも意外と事件に遭遇するんですよね」

 

それもあって、意外とフードとマスクは活躍してたりするんだよね。警察の事情聴取から逃げる事はあんまりよろしくなんだろうけど、助けられたから助けた。そこにそれ以上の事情はないし。拘束される時間が勿体ない。

 

「おや、そういうものなのかい?」

「ええ。最近だと昼過ぎだったかな、どっかの駐車場で後方不注意の車がバックでベビーカーを跳ねちゃいまして。投げ出された赤ちゃんをダイビングキャッチしたりしました」

 

その後は例のごとくとんずらしたけどね。その時は用事があって急いでたし。

 

「その赤ちゃんは大丈夫だったの?」

「ええ、幸い首は座っていたし衝撃が逝かないように優しく抱きとめましたから。他にも色々と…」

 

チャリで走ってた高校生とトラックの衝突を回避させて俺がトラックに吹っ飛ばされたり、子供を助けようとして轢かれそうになった声を出さない女性を押し出して俺が代わりに轢かれたり、高木刑事っぽい人の相方を助けた約1週間後のバレンタイン前の日には美人さんが車道に飛び出してきたのを目撃したから彼女と一緒に車にはねられたり……確か、その時は車も電信柱に衝突したから運転手を助けて応急処置したんだっけか。救急車が来る前に終わらせてさっさと立ち去っちゃったけど。

女の人も軽症で済んでたけど、数日後の新聞でちらっと彼女のバックを持ち逃げした人が殺人未遂容疑と強盗で捕まったって記事があったな。彼女がそいつから逃げていて車道に飛び出したって証言したらしいし……こう振り返ってみると1年も経たずに3回も車にひかれてるんだな俺。

 

「まあ人助けができたのならいいじゃないか」

「まあそうなんですけどね…っと。これで準備はオッケーっと。それじゃあ夏さん。俺はそろそろ出ますので何かあったら携帯に連絡く
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