第五十話 -揺れる警視庁 1200万人の人質-
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」
――
数学の次は英語だった。俺はすでに解答を終えて、見直しも終わりカンニングを疑われない程度に周りを伺っていた……うん?さっきから巽先生は何を聞いているんだ?
2B担任教諭で試験監督をしている巽先生はさっきの数学の試験中には身に付けていなかったイヤホンを左耳につけて英語の試験監督を行っていた。確か、英語の試験が始まってすぐはそんなもの付けてなかったよな?ってことは試験中に別の教諭が廊下に呼び出していた時につけたのか。聞いてみるか。『…東都タワーに爆弾が仕掛けられていると警視庁が発表してから、すでに一時間以上が経過しております。爆弾はエレベーターに仕掛けられており、中には警察官と少年が取り残されており…』おいおいおい。なんかすごいことが起きてるな。もしかして朝の大量のパトカーは爆弾テロの警戒のためか?にしても…少年、か。ま、まさかね?
俺は東都タワーの方向へ聴覚を集中させた……うん。まさかだったわ。何やってんだ新ちゃん。会話を聞くに取り残されているのは高木刑事で爆弾解体しているっぽいな…っ!!
「コラ!テスト中は静かに!」
丁度高校の上を通ったTV局のヘリコプターに反応した蘭ちゃんと園子ちゃんが注意を受けた。だが、俺はそんなことよりも新ちゃんが高木刑事にかけた言葉の方に気を取られてしまった。
どうやら、爆弾はもう一つあるらしくその在り処を示すヒントが新ちゃんの目の前にある爆弾の液晶パネルに表示されるらしい。表示されるのは爆発の3秒前から…どうする?場所は分かっているし、最悪俺が爆弾を裏のチャンネルを通して回収するか…?目の前で爆弾が消え失せるなんてオカルトが起こるけど勘弁な、新ちゃん。
俺は机に突っ伏して聴覚・嗅覚を鋭敏化させて正確な新ちゃんの位置を把握し、裏のチャンネルを机の上に展開させた。勿論体でかぶせるようにして周りに見えないように配慮して。
そこはどうやらエレベーターの天井部分のようだった。俺の視点はエレベーターを俯瞰する位置にあるようだ。さて、あと1分……
――
「…っふう」
「なんや龍斗?お疲れやな」
「え?ああ、まあね…」
「さっきのは龍斗の得意な英語やろ?そんなに苦戦したん?」
「えっと、まあ別件かな?」
「そうなんか……龍斗」
「うん?」
紅葉は俺の耳に口を近づけ、声を潜めて言った。
「(この子が正午過ぎから警告しとるんやけどなんや知らんか?)」
「(!…な、るほどね)」
紅葉の報告から俺は帝丹高校を精査してみた。すると、体育館近くの倉庫に普通の学校にはない匂いを感じ取った。
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